話題の飯ごう“メスティン”でお手軽シーフードパエリアを作ろう!~アウトドア調理グッズ活用術~

いよいよ夏休み本番!キャンプの季節ですね!密にならないアウトドアはもちろん人気ですが、自宅ベランダでのミニキャンプ「ベランピング」を楽しむ方や、会社のお昼休みにキャンプ用品を持参して自炊する方がいたりと、アウトドア調理グッズに今注目が集まっています!
そこで今回、アウトドア調理グッズの活用術が学べるオンラインイベントを開催しました。「食」を楽しみ、笑顔を届けるメディア「アイスム」とのコラボイベントで、テーマは「アウトドア気分で楽しむおうちごはん」。ゲストには、キャンプ料理レシピサイト「ソトレシピ」代表の千秋広太郎さんをお迎えし、話題の飯ごう“メスティン”のお手入れ方法や簡単レシピ、そのほか便利な調理グッズも教えていただきました。
<イベント開催日:2021年7月22日>
【参加者の皆さんに事前アンケート】
★アウトドア調理グッズについて伺います。
①メスティンは持っていますか?
「持っている」50% 「持っていない」50%
②それ以外のアウトドアグッズは持っていますか?
「持っている」70% 「持っていない」30%
③キャンプにはよく行きますか?
「行ったことがない」20% 「あまり行かない」40%
「1年に1回以上」30% 「1か月に1回以上」10%
④今日参加した動機はなんですか?
「キャンプグッズに関心がある」「アウトドア料理に興味がある」「キャンプに行ってみたい」他
MC・Aya: 参加者の皆さんは、4割の方がキャンプに「1年に1回以上」行っているという結果になりました。逆に「行ったことがない」方もいらっしゃるので、今日のイベントでキャンプや調理グッズの魅力も知っていただけたらいいですね!ちなみに、千秋さんはどれくらいキャンプへ行かれているのですか?
千秋: 撮影も含みますが、月に3~4回は行っていますね。来週は1週間の間に4回行きます!
最新!便利!アウトドア調理グッズをご紹介
MC・Aya: 今日は便利なアウトドア調理グッズをいくつかご紹介してくださるんですよね?
千秋: はい!今日は3種類ご紹介したいと思います!
①メスティン

8A GARAGEの「スリップメスティン」(左から)ラージ/レギュラー/スモール
千秋: まずは、アルミ製の飯ごう“メスティン”です。昨年のソロキャンプブームで買われた方もいらっしゃるかもしれません。トランギアというメーカーが出しているメスティンが王道なのですが、レギュラーサイズ(中央)が1合炊きにちょうど良いということで、登山家やソロキャンパーが使い始め、「煮る・焼く・蒸す」ができて便利だと人気が高まっていきました。私もレシピ本『メスティンBOOK』(山と渓谷社)を監修しています。
実は、スモールサイズは100円ショップのダイソーやニトリでも買えるんです。ダイソーでは500円で販売されており、おうちでメスティンを楽しむ方も増えたようです。北海道のブランド8A GARAGEの「スリップメスティン」は、特殊スリップ加工が施されているので焦げにくく、初心者におすすめです。
トランギア製のメスティンは、お手頃でカッコイイのですが、使用前に処理をする必要があります。具体的には、紙やすりで研磨する「バリ取り」や、お米のとぎ汁に漬け込んで、表面に膜を張って焦げにくくする「シーズニング」が推奨されています。まずはベーシックな商品を使いたい&手頃な値段をご希望ならトランギア、便利さ追求なら8A GARAGEを選ぶと良いかもしれないです。
②シェラカップ

千秋: こちらはキャンプの定番アイテムですね。ステンレス・アルミ・チタン製がありますが、200ccくらいのサイズがベーシックです。深さがあるので、飲み物が飲めて、取り皿としても使えます。また、取っ手が付いているので調理もできます。ソロキャンパーの中には、これで半合だけ炊く人もいます。
③シェラどんぶり&お釜ヘッド(ソトレシピオリジナル商品)

千秋: ソトレシピがプロデュースする「シェラどんぶり」は、シェラカップのどんぶりサイズ!キャンプでラーメンを食べたい人にはぴったりのサイズだと思います。もちろんメスティンでも作れますが、日本人としては丸型で食べたいですよね?ステンレスのまち、新潟県・燕三条で、職人さんが一つ一つ手作りしてくださっています。
一方、ふたは「お釜ヘッド」※というんですが、木工のまち、北海道・旭川の職人さんに作っていただきました。ごはんを炊く時のふたとして、見た目もかわいい&おいしそうだと思いますが、ひのきの香りもするアイテムです。いつもと違う環境がキャンプの楽しみの一つだと思いますので、見た目や香りを楽しめる調理グッズは大切かなと思っています。
※お釜ヘッドは7月末でクラウドファンディング終了、一般販売は10月以降の予定。
「シェラどんぶり」も「お釜ヘッド」も、丈夫で使いやすいです。白米も炊き込みごはんもおいしく作れますので、ぜひ使ってみてください!
実際に作ってみよう!~メスティンでお手軽シーフードパエリア~

<材料>
・米…1合
・水…180mL
・オリーブオイル…大さじ1
・玉ねぎ…1/4個 *みじん切りにしておく
・にんにく…1片 *みじん切りにしておく
・シーフードミックス…1袋(100g)*解凍したもの
・パエリアシーズニング(粉末の調味料)…1袋(8g)
・ローズマリー…適量
・パプリカ(赤)… 1/4個 *小さめに切っておく
・レモン(くし切り)… 1/8個
<道具>
・メスティン…レギュラーサイズ。お手持ちのクッカーでもOK
・ワンバーナー…カセットコンロでもOK
・バーナーパッド…メスティンを安定して置くことができ、広い面積を温められます
・スプーン…炒めたり、かき混ぜたりするため
・タオル…今回は「タオル巾着」を使います
<手順>
1、ワンバーナーの上にバーナーパッドをセットし、その上にメスティンを乗せる。
2、メスティンにオリーブオイルを引き、みじん切りにしたにんにくと玉ねぎを入れ、
火をつけて炒める。(強めの中火)

*トランギア製のメスティンの場合は、焦げつきやすいため、油多めがおすすめです。
3、玉ねぎが透明になってきたら、お米を入れて炒める。
*お米は、洗米や浸水をしないで使います。パエリアは、スープをお米に吸わせて、その味を楽しむ料理。先に浸水させてしまうと、スープが染み込みにくくなってしまいます。
4、お米が透明になってきたら、水を加える。

*キャンプには計量カップを持っていかないと思うので、メスティンの取っ手が付いている部分の丸いポチっとしたところの半分くらいまで水を入れるとちょうど良いですよ。
*水を入れたら沸騰するまでかき混ぜ続けましょう!
5、パエリアシーズニングを入れて混ぜる。

*パエリアシーズニングがない場合、サフランとコンソメでも代用できます。
*よく混ぜることで焦げにくくなり、味も染み込みやすくなります。
6、沸騰したら弱火にして、シーフードミックスとローズマリーを入れる。ふたをして10分待つ。
*10分というのはあくまで目安。アウトドアだと、風が強かったり、気温が低かったりして、時間通りにいかないこともありますので、様子を見ながら時間調整してください。
7、ごはんからパチパチする音が聞こえてきたら、火を止める。手袋をしてふたを開け、小さく切ったパプリカを入れる。

8、ふたを閉じ、メスティンをタオルでぐるぐる巻き、10分蒸らす。

*タオルで巻くと、熱が逃げにくく、お米にしっかり火が入ります。裏地がタオル生地になっている「タオル巾着」(ソトレシピオリジナル商品)を使えば、巾着に入れるだけなので便利です。
9、手袋をしてタオルから取り出し、最後にレモンを添えたら完成!

アウトドア調理グッズのプロに質問!
MC・Aya: せっかくの機会ですので、ここで質問タイムです!チャットやアンケートに記入いただいた質問を読んでいきますね。まず、ボブさんから「メスティンを初心者が選ぶ時には、何かポイントはありますか?」と質問いただいています。
千秋: 1点目はサイズ感ですね。ソロキャンプの方はレギュラーサイズ、ファミリーで小鍋代わりに使う場合は、ラージサイズが良いと思います。2点目は、先ほども少しご説明した、事前の処理をどう考えるかですね。トランギアのメスティンは、最初に「バリ取り」と「シーズニング」が必要です。トランギアはスウェーデンのメーカーなんですが、実はメスティンは当初、調理器具ではなく道具箱として作られたらしいんです。それなのに、日本では調理器具として雑誌等に紹介されていて、現地の人がビックリしているそうです。そのため、調理用の加工がされていないので、紙やすりで整えたり、お米のとぎ汁で煮込んだりする必要が出てくるんですね。これらの処理は、初心者の方にはハードルが高いと思うので、スリップメスティンなど、事前の処理が不要のものを選ぶと良いと思います。
MC・Aya: 関連して、パパ・ウザビッチさんからは「メスティンの前処理をしないで使うと、どんな惨状になりますか?」とご質問をいただいています!
千秋: 実はYouTubeチャンネルで1回検証したことがあるんですが、バリ取りをしないと、手を切りやすくなったり、ふたが閉まらなくなったりします。また、シーズニングをしないと、焦げがすごく付いて残ってしまいます。焦げを洗うのは大変なので、シーズニングした方がいいと思いますし、メーカーさんもシーズニングを推奨しています。ただ、洗剤で洗ってしまうと、お米のとぎ汁で張った膜が取れてしまうので、またシーズニングしないといけないんですね。毎回シーズニングするのも大変なので、私は洗剤で洗って、次に使う時は油をたくさん塗るという方法をとっています。ただこれはあくまで自分流なので、よく調べてから使うようにしてください。
MC・Aya: 続いてはリーフさんからの質問です。「メスティンで焼いたり、炒めたりするおすすめレシピも教えてほしいです!」
千秋: メスティンは炒めづらい形状ということもあり、煮込む系、炊く系のレシピが多いんです。ひっくり返して焼くだけで済むような、鮭や鱈のムニエルがおすすめです。
MC・Aya: 冒頭のアンケートで「皆さんどんなアウトドアグッズをお持ちですか?」という質問をしましたが、その回答が届いています。「バイクツーリング先で、バーナーでお湯を沸かし、コーヒーを楽しんでいます」「ワンバーナー、コッヘル、シェラカップ、テント等。山でテント泊するための道具は一通り持っています」という方もいらっしゃいます。
千秋: おそらく登山好きの方ですね!すごいですね!
MC・Aya: ご家族で行かれるんですかね!?ちなみに、ラージサイズのメスティンというのは、パエリアを作るとしたら何人分くらい作れるんですか?
千秋: 2合炊きくらいはできるので、大人なら3名分、お子さん含めた4人家族分くらいですかね。
MC・Aya: 千秋さんのメスティンはすごい使用感がありますが、いつから使われているんですか?
千秋: 結構ハードに使っているのでボロボロですが、逆にキャンプ好きの方だと、味がある方が良いという方もいらっしゃると思います。3~4年くらい使うと、こんな感じになってきます(笑)。とても大事に使っていますよ。

MC・Aya: 続いてのご質問です。「食材をアウトドアに持っていく時に、傷みにくくする工夫があれば教えてください」
千秋: 食材によると思います。なんでもかんでもクーラーボックスに氷を入れて冷やしがちだと思うんですが、葉物野菜は氷を入れすぎると駄目になってしまうことも。野菜は常温でも大丈夫な場合もあるので、ソフトクーラーを使用するのが良いと思います。逆にお肉やお魚は、保冷力の高いハードクーラーが良いですね。注意点としては、保冷剤や氷を入れる「場所」です。冷気は上から下へ流れていくので、一番下やサイドに入れるのではなく、一番上に入れるのが良いでしょう。
MC・Aya: こちらは経験者の方からのご質問ですね。「シングルバーナー(ワンバーナー)まわりに、ウィンドスクリーンを置く場合、風で飛んでしまうことがあるのですが、飛ばされないように工夫できることはありますか?」
千秋: 私もよく飛ばされます(笑)。ウィンドスクリーンというのは、いわゆる風防のことですね。風が強くてバーナーの火が安定しない時に、壁みたいな囲いを使うんですね。その囲いが飛んでしまう場合は、アナログなんですが、石で挟んでおくか、ずっと手で持っているしかないですね(笑)。
MC・Aya: 続いて、「ナポリタンはできませんか?」
千秋: ナポリタンできます!作り方はいろいろありますが、メスティンが2つあると、茹でる用とソースを作って絡める用に分けられて作りやすいです。どうしてもメスティン1つで作りたい場合は、ふたを使う方法があります。メスティン本体でパスタを茹でて、ふたでソースを作り、ソースを本体に戻して絡めるというやり方です。ただ、ふたは本体と比べて変形しやすいので、弱火~中火で使っていただいた方が良いと思います。

MC・Aya: 参加者の皆さんから続々とコメントをいただいています。「テント欲しいです!」「このくらいコンパクトなら庭でもできそうですね!」など。
千秋: 庭で調理する時は、近隣の方のご迷惑にならない範囲で調理してくださいね。コンパクトではありますが、においが強い場合があるので気をつけてください。
MC・Aya: にんにくのにおいとか強いですものね!ちなみに、千秋さんはキャンプに行かれる際、メスティンをいくつ持って行かれるんですか?
千秋: 最近は大中小×2個=6個ですかね。小さいサイズはあまり使わないので、レギュラー2個、ラージ1個がおすすめかもしれません。
MC・Aya: 今から揃える際に参考にしてくださいね。今「キャンプ行きたくなりました!とりあえずメスティン買います!」とコメントいただきました。
千秋: 今は猛暑なので、慣れない方がいきなりキャンプに行くと大変かもしれません。必ず、熱中症対策をしてくださいね。夏場は家でメスティンの練習をしておいて、秋口になったら実際にキャンプへ行くのも良いかもしれません。
MC・Aya: たしかに今猛暑ですものね。千秋さんは、多数のキャンプ場に行かれていると思いますが、おすすめの場所はありますか?
千秋: ライジングフィールド軽井沢は、大好きですね。ファミリーキャンパーさんや初心者向きだと思います。軽井沢のキャンプ場は、標高が高いため、暑いシーズンでも涼しく、虫が少なめで、水場もきれいなのでおすすめです。ちなみに、キャンプ場選びの時には、流しでお湯が出るかもチェックしておくと、洗い物が楽にできるので安心ですよ。
MC・Aya: 関連して、「温泉付きのキャンプ場ってありますか?」とご質問が来ています!
千秋: おすすめは、埼玉県の武甲キャンプ場です。埼玉県の秩父の方で、川と武甲温泉が隣接しているキャンプ場です。温泉には、露天風呂もサウナもありますよ。初心者の方には、お風呂があると安心ですよね!
MC・Aya: そろそろイベント終了のお時間です。千秋さん、本日はたくさんのことを教えていただき、ありがとうございました!
千秋: ぜひYouTubeチャンネル「ソトレシピのキャンプ飯TV」もご覧いただけたら嬉しいです。キャンプ道具の紹介や、シーズニングする・しないでどのくらい違うか?を実験する動画、メスティンを塗装してみる動画など、多数配信しています。アウトドア調理グッズを活用して、楽しいキャンプ、楽しいおうち時間をお過ごしください!今日はありがとうございました!
千秋 広太郎(ちあき・こうたろう)
株式会社ソトレシピ代表取締役/株式会社シーザスターズ代表取締役
キャンプ料理レシピサイト「ソトレシピ」を運営するほか、イベントやテレビ出演など多岐にわたって活躍。キャンプ料理ユニット・パエリアンとしてYouTubeチャンネル「ソトレシピのキャンプ飯TV」開設。ソトレシピ監修『いつでも!どこでも!ワンバーナーレシピ』(池田書店)、『メスティンBOOK』(山と渓谷社)など。