インテリアにもピッタリ!はじめての「アクアリウム」を作ろう!

おうちの限られたスペースでも楽しめるとあって、インテリアにもぴったりなアクアリウム。容器と水草選びをちゃんとすれば誰でも簡単に作れます。水辺の動植物専門ショップ〈sensuous〉代表の早坂誠さんに、アクアリウムの作り方を教えていただきます。
アクアリウムの魅力とは?
――本日のゲスト、早坂誠さんのお店にお邪魔しています。早坂さん、こんにちは!
早坂:こんにちは。(有)エイチ・ツーの代表をしています、早坂誠と申します。渋谷の本社からアクアリウムをご紹介したいと思います。
――早速ですが、早坂さんの背後にあるのはお作りになったアクアリウムですか?

早坂:こちらは販売しているお魚さんたちになります。そしてお店の反対側には、お魚以外の生き物もいます。(反対側の棚をご紹介)カエルとか、亀とか、テラリウムの入れ物なども置いています。

――アクアリウムは、英語だと「水族館」という意味ですよね。早坂さんは、アクアリウムをどういう定義でお使いになられているのですか?
早坂:日本でアクアリウムというと、ガラスなどの水槽のなかで水性動植物を飼育することを指します。植物だけのアクアリウムでしたり、そこにお魚がいたり、様々なタイプがありますね。僕自身は水草を専門としていることもあって、特に水草は愛着があります。
――早坂さんにとって、アクアリウムの魅力とは何でしょうか?
早坂:我々人間は陸上に生きていますから、通常は水の中の生態を見る機会は少ないと思います。それが、ガラス1枚を隔てた空間のなかで、水草や魚を飼育して、それを真横から眺めることができるということは、奇跡的なことだなと思います。日本人は昔から、例えば金魚などを飼っていたりするので、それが当たり前に思うところもありますが、異空間に生きる生物を真横から見られるということは、本当に素晴らしいことであり、それが魅力だと思います。

早坂:また、水と、緑と、生き物がいるという環境。これを僕は「癒やしの三重奏」と呼んでいるのですが、見ているだけでとっても癒やされます。これもまたアクアリウムの魅力だと感じます。
グラス・アクアリウムに必要な道具とは?
――それでは早速、アクアリウム作成の実演に移っていきたいと思います。
早坂:今日はこちらにあるグラス・アクアリウムを作っていきたいと思います。

早坂:道具や材料についてご説明をします。
・透明なガラスの容器(直径・高さともに10㎝〜20㎝位のもの)
・ピンセット(ガラスの容器の底につく程度の長さがあると良いです)
・ハサミ
・ハケ
・歯ブラシ

早坂:容器ですが、ペットボトルやプラスチックボトルでもよいですが、傷のつきやすさ、耐久性を考慮すると、ガラス製をオススメします。
ハケは砂をならすときに使います。ハサミも、どんなものでも良いのですが、僕が持っているものは、切れ味を重視して、美容師用カットバサミを使用しています。歯ブラシは、水槽管理をする時に使います。例えば水槽のガラスの内側を洗う時に便利ですね。

アクアリウムに必要な材料とは?
早坂:材料はこちらになります。
・砂、又はソイル
・石や流木など
・水草(1〜2種類の簡単な水草をお店で購入してください。種類に困ったら、ハイグロフィラの仲間やロタラの仲間をおすすめします)
・水草の栄養
水草は、今回は4種類用意してみました。丈夫なものであれば何でも大丈夫です。
石は、石灰(カルシウム)が多く含まれているものは避けたほうが良いですね、白い石などは比較的含めれることがあるので、注意してください。石はホームセンターなどで買えるもので問題ないです。
流木は、ホームセンターや熱帯魚専門店などで買えます。細めのものを1本購入してから、枝切り鋏で切って使ってみてください。
水草の栄養、つまり固形肥料もご用意ください。こちらも水草の専門店などで売られています。
最後は砂です。この茶色いものはソイルといって、天然の土を焼き固めたもので、水草が育ちやすいです。白い砂は水槽の中が明るくなりますね。黒い砂はガラス成分が含まれていますので、暗いところで電気をあてるとキラキラと光ってキレイです。サンゴ砂などはカルシウムが主成分なので避けられたほうが良いですが、それ以外でしたらどんな砂でも大丈夫です。

皆で一緒にトライ! アクアリウムの作り方
――実際にアクアリウムを作る手順を教えて下さい。

早坂:はい、それでは早速一緒に作っていきましょう。

早坂:ガラスの容器に肥料を入れていきます。肥料のご用意のないかたは、そのままで大丈夫です。
次に砂を入れていきます。ソイルを使われているかたがいらっしゃるみたいなので、僕も今日はソイルにしてみますね。スコップやスプーンですくって、ガラスの中に入れていきます。
目線の高さに持ってきて、こまめにチェック!

早坂:砂の分量ですが、最低でも3cmの高さは欲しいです。3cm〜5cmがちょうど良いですね。砂の厚みがあるほうが水草が植えやすいのですが、厚すぎると水槽の中が狭く感じられてしまうので、丁度いい量で調整してみてください。砂を入れたら、全体的にハケでならしていただいて、容器を持ち上げて、目線まで持ってきてから厚みを確認してみてください。上や斜めから見るよりも、目線で確認することをおすすめします。

早坂:砂は、手前を低くして奥を高くするなど、傾斜をつけて高低差を作ると奥行き感が出るのですが、今回は丸いガラスを使っているので、全方向から平らに見えるようにしていきますね。
――例えば容器が四角い場合などは、手前を低くして、奥を盛り上げてみると、良いですか?
早坂:そうですね、四角い容器の場合、砂に傾斜をつけると立体感が増すと思います。
次に、石と流木を置いていきましょう。石は、種類を多くするより、1種類で作るとまとまりのあるレイアウトになりやすいです。

――アクアリウムを作る時、水草だけを入れればいいのではと思われる人もいらっしゃる気がしたのですが、石や流木はなんのために入れるのでしょうか。
早坂:景観を楽しむための演出効果とご説明しています。もちろん水草だけでも素敵なのですが、好きな景観を真似してアクアリウムにしてみると、より一層愛着がわくと思います。砂を大地と見立てて、どこかで見た景色を再現してみるのも良いですね。
――素敵ですね。皆さんも順調に石を配置されていますね。
石の配置は、直感とセンスと経験を信じる
早坂:なかなか難しく感じられるかもしれませんが、石の配置は、直感とセンス、そして経験、でいくしかないので、一度まずは作ってみて、また作り直してみるなどしていけば、どんどん上達していきます。
――先生、ラボメンバーから質問がきています。「砂利も敷いていいですか?」
早坂:はい、ぜひ敷いてみてください。砂利は演出的にも良いと思いますので、ぜひ使ってみてください。
そして皆さん、一生懸命配置していただいていますが、適度に空間は空けるようにしてください。そうしないと水草を植えるスペースがなくなってしまいますので。
流木も入れていきましょう。

早坂:石とか流木などは、5つや3本、などの奇数で入れていくとバランスが取りやすいです。
水を入れたあと、流木が浮いてしまう場合があるのですが、砂の中にグッと深く入れていただければ大丈夫です。もしくは、釣具用に売っている板鉛(イタナマリ)などを重しにして、流木に巻いていただければ浮かなくなります。
水を入れる時のポイントは、ペーパータオル!?
早坂:ではこの後に、水を入れていきます。水場に容器を持っていける方は、そちらでお願いしたいのですが、今からここで見本をお見せしますね。
このまま水を入れてしまうと、砂が舞ってしまいます。そこで、ペーパータオルを切って、四つ折りくらいにして、砂の上に静かに置いてください。そのペーパータオルをピンセットで押さえながら、ペーパータオルめがけて水を注いでいくと、砂が舞いにくくなります。
水場に持っていって蛇口から水を注ぐ場合は、ゆっくり静かに入れていってください。そして水を溢れさせていただくと、砂の中の汚れが出ていくので良いです。
水が注ぎ終わったら、ペーパータオルをピンセットで取り除いてあげてください。

今日のメインイベント!水草を植えましょう
早坂:次に、水草を入れていきます。ホームセンターや熱帯魚屋さんで、よく売られているような水草4種類を用意しました。パールグラス、オーストラリアン・ドワーフ・ヒドロコティレ、ロタラ・ロトンディフォリア、グリーンロタラ、です。どれを買えばいいか分からない場合は、店員さんに相談して、育てやすいものを1〜2種類選んで購入いただければ大丈夫です。
有茎草という長い水草を植えていきます。この注意点として、植えた時に高さが長過ぎてしまって、水面やガラス容器からはみ出してしまうことがあります。成長が早いと1〜2日で伸び出てしまうのです。なので、なるべく短めに切って頂きたいのです。目安は、グラスの半分くらいの高さでスタートするのが良いですね。そうすることで水草の成長が見られていいと思います。

――結構切ってしまうんですね。
早坂:はい、そうなんです。そして切る時は、茎の下の部分の葉も一緒に切りましょう。ただその時に、少しだけ葉の根もとを残しておいて頂くと良いです。そうすることで、砂に水草を植えた時に、葉の根もと部分が砂に引っかかって、ストッパーのような役割をしてくれるのです。ちょっとしたポイントですね。

早坂:水草の茎の途中をピンセットでつまんで、砂に植えようとするかたがいるのですが、茎の途中でつまんでしまうと砂に上手く入ってくれません。水草を砂に入れる時は、茎の一番下の先端の部分を軽くピンセットでつまんで、斜め45度の角度で砂に差し込んで行きます。差し込んだら、ピンセットはゆっくり抜き出すようにしてください。
――なるほど。皆さんぜひ実践してみてください。
早坂:「水草を束のまま植えても大丈夫ですか」、とよくご質問いただくのですが、束のまま砂に植えますと、束全体の浮力で抜けやすくなります。一本ずつ植えて頂いたほうが根が張りやすくなりますので、根気よく、頑張って植えてみてください。
余談になりますが、以前取材で、今まで植えた水草の本数は何本か聞かれたことがあって、60万本とお答えしました。1日の平均本数×やってきた年数で計算するとそれくらいになるのです。
――もしかして早坂さんは、人類で一番、水草と親しい方なのかもしれません。
早坂:最近は僕のことを「水草職人」と呼んでくださいと言っています(笑)。
――今、皆さんも必死で水草を植えているようです。流木などが邪魔して、水草が上手く植えられないとおっしゃっているラボメンバーの方々もいらっしゃいます。
早坂:レイアウトを頑張って作ってしまうと、後になって水草が植えられるスペースがないというお声を、本当によく聞きます。これは引き算の法則で、最初に色々配置してみて、少し要素が多いかなと思ったら、思い切って外してみてください。
――今回は丸い器を使われましたが、初心者には丸いものでトライするのが良いのでしょうか。
早坂:そうですね、丸い形状の器のほうが比較的手に入りやすいこともありますし、真ん中に水草を集めて植えるだけでも絵になりやすいので、初心者にオススメだと思います。
はい、そしてこちらは植え終わりました。
――先生、早いです!さすが職人さんです!
完成!皆さんの完成品も先生がチェック!

早坂:最後のポイントです。水の入れ替えのやり方、つまり管理方法についてお伝えします。
水を入れる時は、水面に指や手を添えてあげて、そこに水を落とすような感じで入れていってください。難しい場合は、スプーンなどをあてがってあげて、そこをめがけて水を注ぎ入れると、水草も砂も舞うことがなく水の入れ替えができます。水を入れ替えるときは、このようにして水を溢れさせてください。
――水が澄んでいてとってもキレイです。
早坂:新しい器の場合は、ガラス面に気泡が付きやすいので、その場合は内側からハケなどで拭くようにして取り除いてください。完成しました。

ラボメンバーMCさん:先生質問です。細長い水草を用意してみたのですが、器よりも長くてはみ出てしまいます。これはどうしたらいいですか。
早坂:その水草は、スクリューバリスネリアですね。その場合、1本1本、根本からわけてみてください。そして器の高さよりも短いものがあれば、それを仕分けてください。もし全体的に全てが長いようでしたら、水面に合わせて葉の先の部分をカットしてください。カットした部分からは新芽は成長しないので、予めそういうものだと割り切って頂くと良いでしょう。カットする際は、基本はハサミでカットですが、手でプチっと切れるのであれば、それでもOKです。
――皆さん、まだまだ奮闘しているようですね。こだわり始めると、永遠に終わらなくなりそうです(笑)
早坂:どこでやめるかというのも実はポイントです(笑)
――もしお魚を入れたい場合、注意事項はありますか?
早坂:容器の大きさが、入れるお魚の大きさに適しているかどうかは確認したほうがいいですね。小さい器ですと、アカヒレや小さいメダカなどが適しています。魚にとって塩素はあまりよくないので、水道水ではなく、浄水器の水を使って頂くのがポイントです。浄水器がない場合には、塩素の中和剤をお使いください。ホームセンターなどでも購入できると思います。
あとは、水温を上げすぎないということ。この2点を気をつけていただければ、このような小さな器でも、小さい魚やエビを飼育することができますので、トライしてみてください。
――参加者の皆さんのなかで、終わったかたから完成品を見させて頂きたいのですが、いかがでしょうか。
ラボメンバーSさん:先生、出来たのですが、水草が浮いてきてしまいます。
早坂:ピンセットの使い方がまだ慣れていらっしゃらないか、砂の厚みが足りないのかもしれません。水草を植える時は、ピンセットが器の底に少し着くくらいまでグッと押し込むのがポイントなので、何度かやってみてください。あとはピンセットを抜く時も、ゆっくり静かに、ですね。
時間が経って根が生えてくれば抜けなくなります。今が一番抜けやすい時なので、ある程度落ち着いたらしばらくこのまま、例えば1週間もすれば根が生えてきますので抜けなくなると思います。
ラボメンバーOさん:水の入れ替えはどれくらいの頻度でやればいいですか?
早坂:理想は1日1回です。夏場は特に水温が上がりやすいので、水の温度を下げるためにも毎日替えるのが良いですね。例えば、歯を磨いている3分間、浄水器の水を上からポタポタ落として器から溢れさせるだけでも水が循環します。毎日ちょっとずつ入れ替えるだけでもいいので、継続は力なりと言いますし、習慣づけてみてください。
ラボメンバーMさん:お家でベタや水草を飼育しているのですが、なかなか水草が上手く育てられません。
早坂:日差しが強いと水草が育ちにくい場合もあります。太陽光が強すぎず、弱すぎずというちょうどよい光量が良いので、日陰を作ってあげるなどすると良いかもしれませんね。
ラボメンバーMCさん:白い砂利を用意していたのですが、水が全体的に白っぽくなってしまいました。もしかしたら砂利を洗っておいたほうが良かったですか?
早坂:白い砂利は汚れが付きやすいのと、洗いすぎると永遠に水が白濁してしまうので、そのまま普通に水を溢れさせるのを繰り返していけば、いずれ水が透明になってくると思います。
――そろそろ終わりの時間が来てしまいました。今日は楽しいイベントを、どうもありがとうございました!
早坂:こんなにたくさんの人にご参加頂いて嬉しかったです。こちらこそどうもありがとうございました。
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早坂誠さん
東京渋谷の水草・観賞魚販売を中心とした店舗「sensuous」代表。
水草職人として、観賞魚業界を牽引するパイオニア的存在の一人。独立後の2001年より水草を用いた作品を専門誌やインテリア誌に数多く発表し、テレビ番組セットや企画展、各イベントなどでアクアリウム作品を手掛けている。Eテレ「アクアリウムとテラリウム」の講師出演、など。
都内専門学校(アクアリスト専攻)講師。観賞魚飼育管理士アドバンス・愛玩動物飼養管理士2級・ビオトープ計画管理士2級・ビオトープ施工管理士2級。著書「水草水槽のススメ」
https://www.instagram.com/sensuoush2l.jp/
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