お家に緑を取り入れて心を豊かに。お花屋さんに聞く、はじめてのグリーン選び。<前編>

グリーンを暮らしに取り入れよう

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お家時間が増えるなか、家の中にグリーンがあるだけで心がホッとしたり、豊かな気持ちになるものです。いざ飾ろうと思っても、どんなグリーンが適しているのか、どこに置いたらいいのか、育て方はどうすればいいのかと、知りたいことがいっぱい!そこで中目黒の「farver」の店主、渡辺礼人さんに、はじめてでも簡単な、グリーンの選び方と育て方について教えて頂きます。

玄関には香りのあるものをさり気なく置いてみる

――渡辺先生、こんにちは!

渡辺:こんにちは、中目黒で「farver」という花屋を営んでいます、渡辺礼人と申します。どうぞ宜しくお願い致します。これまで、お花にまつわる様々なお仕事をやってきました。今日は私の自宅で育てているグリーンなどを見て頂き、皆さんの参考にしていただけたらと思っています。

――ありがとうございます。では早速ライブツアーをお願いいたします。

渡辺:こちらが玄関になります。玄関は外から帰ってきて、プライベート空間に戻る最初の場所。一番最初に気持ちが切り替わる場所だと思います。気持ちや気分がスムーズに変わることができるように、僕は香りのある花を玄関に飾ることが多いです。こちらに生けているのは、「アンジェリークロマンチカ」という種類のバラで、とても優しい香りがします。生産者さんも優しい人が作っているんですよ。お野菜と同じで、お花も作っている人の人柄が表れますね。

玄関を入るとすぐに飾り棚があり、花瓶や、切っただけの葉を生けていたりします。

――葉も一輪挿しみたいにできるのですね。

渡辺:はい、そうなのです、素敵ですよね。そしてこちらにあるのは「ハイドロカルチャー」といって、土を焼いたものに植物を植えています。水耕栽培に近いのですが、ガラスの花瓶に入れています。

――「マンションの玄関だと、陽が当たりません。そういうところにオススメのグリーンはありますか?」という質問がラボメンバーから届いています。

渡辺:そうですね、暗いところで育てるのに比較的オススメなのが、「アンスリウム」という植物です。日陰であっても育ってくれますね。ただ玄関ですと、やはり暗いことが多いと思いますので、先程見て頂いたように葉を切り花のようにして飾ってあげるというのもいいと思います。

例えばこちらの「キキョウラン」も切り花のようにして、切った葉を水に生けています。必ずしも鉢植えにこだわる必要はないかなと、僕は思います。緑とお花があれば、その空間がみずみずしくなると思うのです。ご自身の無理のないようにグリーンをコーディネートして楽しむということが、大切だと感じます。

渡辺:観葉植物も数が増えてしまうと、そのメンテナンスも大変になります。よく聞く話ですが、男性は緑に対してマニアックになってしまいやすいので、旦那さんがどんどん緑を増やしてしまう。緑がたくさん置かれた床を見て奥さまが、「掃除するのは私なのよ!」という展開になりやすいということです(笑)。その辺りはお互いに落とし所を探してみて、いい塩梅でグリーンを楽しんでいただきたいですね。実は僕もメンテナンスは妻にまかせている部分も多いです(笑)

そしてこちらのデスクにあるのが、バラと「ベアグラス」といわれる葉で、一緒に生けています。

葉だけの一輪挿しや、お花+葉の切り花を飾る

――お花と、別の種類の葉を一緒に生けるという組み合わせ、とても素敵ですね。

渡辺:お花は誰でも生けられますし、正解があるわけでもないので、ぜひ楽な気持ちで楽しんで欲しいです。

――先生、また次の植物が見えましたが、それは何ですか?

渡辺:「トラデスカンチア」といって花屋ではよく“トラカン”と言われています。昔からある品種で、蔓(つる)性なので、このように棚の上に置いてもいいですし、ハンギンググリーンとして吊るしてもいいですね。植物が上から下に葉を伸ばす様子がワイルドな雰囲気を作ってくれるのでオススメです。

――ほかのディスプレイなどもとっても素敵です。

渡辺:この辺りもガラスの花瓶などですが、隣には多肉植物を置いています。こちらのガラス戸の棚には、仕事道具としても使っている色々な大きさやフォルムの花瓶などを置いていますね。

――そしてカメラは、階段の下のスペースに移動しています。先生、ここにも花が飾ってありますね。

渡辺:階段の下のスペースを有効活用しながら、ここにも一応窓があるので、日陰でも育ちやすい「モンステラ」を置いたり、壁には風景写真を飾ったりしています。やや薄暗い空間なので、明るめの色の花を生けるようにしていて、今日は黄色いユリを置いています。ユリは香りもありますので、階段の下からほんのり香ってくると、なんといいますか、それだけでもう優しい気持ちになりますよね。

渡辺:観葉植物も切り花もいいですが、書籍の表紙だったり、石だったり、自然を感じるものを色々と組み合わせて置いてあげると、バランスよくディスプレイできると思います。空間を作る上でとても大切だなと感じます。

階段からリビングルームへ続く導線にも緑を配置

――それでは2階にご案内ください。

渡辺:階段を登りきると置いてあるのが「スキンダプサス」という蔓(つる)性の植物になります。ここでは吊るすのではなくて、台座の上に置いています。そうすることで高さが出せるので、蔓(つる)性の特性を出しやすくなります。スキンダプサスから上の方に目線を移すと、壁に掛けてある風景の写真が目に入ってきます。

渡辺:風景写真を壁に飾ることで、そこに窓ができたような雰囲気をもたらしてくれると思います。つまり空間を広く感じさせてくれる効果があると思うのですね。この写真はアメリカの風景写真ですが、遠い異国の地に想いを馳せるという、ロマンを感じさせますよね。

――本当ですね。そしてこちらはリビングルームですね。早速、大きな木ですね!

渡辺:階段を上がって、一番最初に目に入るのが、180cm強ある「エバーフレッシュ」という木になります。こちらはホームセンターでよく見かけるプラスチック製の鉢の外側に、鉢カバーというものをかぶせています。なぜ鉢に直接植えないかというと、いざ木を移動しようと思うと、土や鉢の重みで動かすのが一苦労になってしまうからです。鉢カバーに入れておけば軽いので、掃除をする時も楽ですね。

渡辺:エバーフレッシュの奥にはバルコニーがあります。ここにも高さのある植物を置いています。階段を上がってきてリビング側を見た時に、その奥にあるバルコニーも目に入ることで、そこに奥行き感が出てくるのですね。

異なった色や形の葉のものを隣り合わせに置くのがポイント

――同じ緑でも、色んな色の緑があるのだなと感じました。

渡辺:とてもいいことに気づかれましたね!葉の形と葉の色。これは飾っていく時にとても重要なポイントになります。同じような形や大きさの葉を隣同士に置いてしまうと、お互いにイメージを削りあってしまうので、あえて違う形や色の葉のものを隣同士に置くことがポイントになります。

悩ましい虫問題。意外な抑止方法とは?

――「屋内で緑を育てる時に、虫が発生しないようにするにはどうしたらいいでしょうか」という質問がラボメンバーから来ています

渡辺:難しいですね……植物が存在するということは、ある意味そこに生態系が存在するということです。虫がいることで、何かしらの微生物が分解されていたりだとか、もっと大きな視点で考えると、人間が生きているこの世界の生態系を虫が支えてくれているとも言えるのだと思います。そこを無くすというのは、植物を育てていく上で、非常に難しいと思います。

ただ、抑止することは出来ます。部屋の中で植物を育てる場合、エアコンなどの風が当たることで乾燥しやすくなると思います。すると乾燥した空間を好む虫が、葉の裏に発生しやすくなるのです。なぜ葉の裏かというと、雨と関係しています。

自然界で植物が育っていて、そこで雨が降る時、雨粒は虫にとってそれはもう恐ろしい大きさになるわけです。その大きな雨粒から身を守るために、葉の裏に虫は隠れる習性をもっています。屋内で緑を育てる場合は、葉の裏にしっかり霧吹きをしてあげることで、虫の発生を抑制することが可能になります。葉の裏に水をやることで、虫を“溺死”させてあげるわけです。

渡辺:もうひとつは、土がジメジメしていると虫がわきやすくなるので、土もある程度通気性を保ってあげるといいですね。栄養のある土ほど、様々な有機物を含んでいます。枯れた葉を虫が食べているので、その虫のフンが、土を豊かにしてくれる……。説明が難しいですが、とにかく虫は必要な存在なのだということも知って頂ければと思います。

どうしても虫が苦手でしたら、切り花を取り入れられたほうが良いかもしれません。鉢植えもあってもいいと思いますが、大きなものは置かずに、花瓶に葉を生けるなどでお試しください。

――ありがとうございます。ラボメンバーの皆さまから本当にたくさんのご質問を頂いていて、チャットが止まりません。イベント内でお答え頂けなかったものについては、後日先生からご回答頂き、SNSなどからご覧頂けるようにします。

「小物とかドライフラワーなどを棚に飾っているのですが、ホコリなどはどうしていますか?」というご質問が来ています。

渡辺:ホコリはたまっちゃいますよね。ドライフラワーはそのままにしておくことが多いですし、ホコリがたまったら、降って落とすしかないと思います。特にドライフラワーって、ずっと持つと思われている方が多いと思うのですが、ホコリもたまりますし、色もあせてくるので、1、2年で新しいものに変えていくというのをオススメしています。

観葉植物も、葉の面積が大きいタイプのものですと、ホコリが溜まりやすくなります。そういうものについては、たまにでいいので、水をたっぷりかけてあげて、一枚一枚葉を拭いてあげるとか。園芸用品として、葉専用のブラシとかも売られているので、それを使うというのもアリですね。

バルコニーから室内に目線が繋がるように配置されたグリーンたち

――次のコーナーも見させてください。

渡辺:バルコニーから室内に目線を向けてもらうために、台の上にはやや主張のある壺を置いています。その隣に切り花を生けています。茶色と黄色が混ざっている「ヘレニウム」という花ですね。その後ろにも鉢植えの観葉植物を置いています。

渡辺:リビングの壁には大きめの風景写真を飾っています。開放感を演出したいなと思っていたので、ドイツの河の写真を掛けてみました。

渡辺:この隣には、大きな葉の観葉植物を置いています。「カラジウム」があって、隣の棚の上には「ヒメモンステラ」を置いています。もう4年くらい育てているので家族の一員です。樹形も当初に比べると変化してきて、環境が合っていたのか、下に垂れるくらいに育っています。

ヒメモンステラの上のほうに新芽が出ているのが見えますか? こういう部分は霧吹きでたっぷり水をかけてください。葉がキレイに育ちますし、虫の抑止にもなります。

渡辺:隣には「エアプランツ」が置いてあります。上の部分が緑で、下の部分が茶色いのがわかりますか?これは上の方へ新芽が出ていって、下の部分はスペースシャトルが切り離されるのと同じように、最終的には取れていきます。エアプランツも霧吹きをしてあげるなどで乾燥を防いでください。

室内で育てるのにオススメなのが、この「パキラ」ですね。乾燥にも比較的強くて、成長期になるとぐんぐんと葉を伸ばしていきます。「エバーフレッシュ」よりも葉の形状がしっかりしているので、存在感もありつつも、軽やかな表情を持っています。

その隣にあるのが、ゴムの木です。2m近くあるかなと思います。幹に傷をつけると白い樹液が出てきます。それがゴムの原材料になっているのですね。「バンビーノ」という品種です。

渡辺:我が家の2階は天井が高めで、梁(はり)もあるので、ハンギンググリーンを置いています。花瓶を吊るして、「ワックスフラワー」を飾っています。これはオーストラリアが原産の植物ですね。ハンギンググリーンは空間を作っていく上で大切で、目線を上げる効果があります。例えば「部屋が広くないので大きい植物が置けない」という場合も、棚の上に植物を置いたり、ハンギンググリーンを置くことで、逆に部屋が広く見えることがあります。

ダイニングには高さの違う切り花をディスプレイ

――次はダイニングやキッチンのスペースですね。

渡辺:先程1階でお見せした「アンスリウム」という葉ですが、こちらをリビングとダイニングの間の棚の上に生けています。赤い葉のように見えるのがアンスリウムの花の部分になりますね。花の持ちもとてもよくて、この状態で1ヶ月半程度持ちます。ゆっくりと花を広げるのですよね。

渡辺:ダイニングテーブルも見てください。こちらにもお花を置いていて、今日は少し涼し気な雰囲気が出る、青い色のお花を生けました。バラと「トルコキキョウ」「クレマチス」など優しげなものを合わせました。ダイニングテーブルなので、花瓶は安定感のある、高さが低めのものを選んでいます。

渡辺:その奥のキッチンのカウンターには「ドウダンツツジ」と、その奥のキッチンの棚の上には「コチョウラン」の切り花を飾っています。

渡辺:リビングルームに飾ってあった、大きな写真のほうからキッチンのほうを見ると、手前から「ゴムの木」→「ハンギンググリーン」→「エバーフレッシュ」→「アンスリウム」→ダイニングテーブルの上の「バラ」→キッチンの「ドウダンツツジ」→最後の「コチョウラン」と目線が移っていくと、空間にリズムが生まれてくるのですね。そういう効果を狙って配置しています。

洗面所にもグリーンを置いて気持ちをリフレッシュ

――先生あの……時間が結構押してきてしまいまして(笑)そろそろ次のコーナーに参りたいと思います。

渡辺:わかりました(笑)。最後は洗面所ですね、こちらにも切り花を欠かさずに置いています。

渡辺:家の庭で育てている「ロシアンオリーブ」を生けています。洗面台って、気持ちがニュートラルに戻る場所なので、そこに植物があるだけで「今日はいつもより丁寧に歯を磨こう」とか、そんな気持ちになると思うのですね。そういった意味でも洗面所にグリーンを飾るのはとてもオススメです。

この後は、後編の記事に続きます。

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渡辺礼人さん

2010年、中目黒に綿密なカウンセリングから「その人のライフスタイルに溶け込む花」を提案する「farver」をオープン。

2014年から2017年まで同じく中目黒に「都会に住む30、40代の植物の概念を変える場所」をコンセプトに観葉植物を扱う「conduit」も展開。

現在はショップワークを中心に広告撮影や店舗のディスプレイ、ブライダル、ワークショップや商品開発等、花にまつわる様々な活動を行う。

https://farver.jp/

手元や高い所などを視聴者にわかりやすく実況中継するために、株式会社デベロップジャパンのオンライン接客サービス「Air-DAM(エアーダム) https://www.djuxd.com/solution/air-dam.html」を使用しました。

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