お家に緑を取り入れて心を豊かに。お花屋さんに聞く、はじめてのグリーン選び。<後編>

グリーン

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渡辺礼人さん

お家時間が増えるなか、家の中にグリーンがあるだけで心がホッとしたり、豊かな気持ちになるものです。いざ飾ろうと思っても、どんなグリーンが適しているのか、どこに置いたらいいのか、育て方はどうすればいいのかと、知りたいことがいっぱい!そこで中目黒の「farver」の店主、渡辺礼人さんに、はじめてでも簡単な、グリーンの選び方と育て方について教えて頂きます。前編では渡辺さんのご自宅のツアーをしながらグリーンを見ていきました。後編は、はじめてのグリーン選びにオススメの種類と、その育て方のコツの教えて頂きます。

タイプ別で知る、グリーンの育て方講座タイムに突入!

――ありがとうございます。ではこの後は、グリーンのタイプ別の育て方の講座になります。

渡辺:お伝えしたいことがいっぱいで、時間が足りませんね(笑)。では1つずつご紹介しましょう。

渡辺:リビングルームに置いてあった「エバーフレッシュ」ですが、空間に適応しやすい植物ですね。お花屋さんから自宅に持ってくると、環境が変わったことでビックリしてしまって、一旦すべての葉を落としたりします。それを見て、枯れたと勘違いしてしまう場合があるのですが、そうではなくて空間に適応しようとしているわけです。成長期は3月〜7月頃なので、その頃に新芽が出てきますので、この時期に購入すれば1ヶ月後にまた新芽を伸ばして青々としてくれますね。

――次は「ゴムの木」です。

渡辺:ゴムの木のなかでも「バンビーナ」と呼ばれるものですが、葉が肉厚です。多肉植物もそうなのですが、葉が肉厚ということは水分を内側に蓄えているわけです。水やりをしたりメンテナンスをするのが苦手なかた、お忙しいかたにはオススメしたい木ですね。

――水のやり過ぎなど、あげ方で注意すべき点って、なにかありますか?

渡辺:日本の住環境って、狭くて日当たりも良くなくて、風の抜けも悪い場合が多いと思います。そうするすと、土に水をやったときに土が乾きにくいということがおきます。土が湿っている状態を好む植物もなかにはいますが、それはつまり、例えば冬場に休もうとしていて、びしょ濡れのベッドに横になるような感覚で、それって風邪を引いてしまいますよね。そういった意味でも、水を今あげすぎていないかどうか、様子を見ながらやってあげてください。

インターネットで調べると、「何日に1回は水をやってください」と出てくることが多いですが、それをやると枯らしてしまうことも多いんです。でもね、枯らすということも、とても大事なのです。

「なぜ枯れたのだろう」って考えたりしますよね。それでも植物を育てたいと思える人は、とても向いていると思います。はじめからパーフェクトなんてないんです、恋愛と一緒です(笑)

渡辺礼人さん

―― はい、皆さんもぜひ植物に恋をしてください(笑)。次は「モンステラ」ですね。

渡辺:モンステラも葉が肉厚で、乾燥に強く、室内で育てるのにも向いています。熱帯にありそうな葉のイメージを受けると思いますが、実際にジャングルで育っているものです。もともとは、このような蔓(つる)性の植物って、大きい木の根元に張り付いて生えているんです。ジャングルの中だと、空は木で覆われているから、直射日光を浴びることはありません。つまり室内の日陰でも育ちやすいのです。

――そして「アンスリウム」ですね。

渡辺:この植物は種類も豊富ですし、切り花としても楽しめます。ハート型の葉なので可愛いですし、乾燥にも強くて持ちもいいです。

――そして「パキラ」です。

渡辺:パキラも新芽がぐんぐんと伸びやすいですし、高さのあるものからスライドにある小ぶりのものまでさまざまです。葉が多くなってきたら、葉を根本からポキっと切り取ってみてください。その木から1枚の葉がなくなるということは、その分、他の葉に栄養分が行き渡ることになるので、成長も良くなります。

――そして「サボテン・多肉植物」です。

渡辺:多肉植物は比較的乾燥したエリアに生息しているので、室内でなかなか水やりができないという人には向いているかもしれません。

ラボメンバー投票タイム!一番気になるグリーンはどれ?

――それでは次のコーナーに移りたいと思います。投票タイムです。このなかで皆さんが一番気になるグリーンはどれになりますか?

――投票結果が見えました。1位は「ハンギンググリーン」がダントツでした。先生、ハンギンググリーンからポイントを説明してください。

渡辺:先程部屋を案内したときに、梁から吊るしていたのを見て頂いたと思います。空間を作る上で、目線を上に持っていくというのはとても効果的なのですね。たとえ小さいものを吊るしても、存在感が出るのでとてもオススメです。

渡辺礼人さん

渡辺:その際、天井から植物を吊るせる環境があるかどうかは大事でして、土の重さに耐えうるかどうかは確認して頂きたいですね。一般的には、レールフックにかけることが多いと思うのですが、重さに耐えうるかどうかと、あとは電気が通っている場合ですと霧吹きをしても安全かどうかを確認して頂きたいです。

渡辺:水やりについて注意点です。一度水を上げた後は、お風呂場や外に一定以上の時間、置いてあげたほうがいいですね。あとから水がポタポタと落ちてきて、リビングの床が水浸しになったという話もよく聞きますので気をつけてください。

また、ハンギングしているということは土が乾きやすくもなります。水やりをこまめにすることで、枯らさずに済みますので、気をつけてみてください。

渡辺礼人さん

――次は「苔玉」ですね。

渡辺:苔というと、京都だったり侘び寂びだったり、日本を感じますよね。土の部分を苔で覆うということだけで、和の様相となります。そしてアートっぽい雰囲気もある。

苔玉も土の部分が苔で覆われているので、通気性がよく、つまり土が乾きやすいです。苔玉を炎天下に置くとすぐに水分が蒸発してしまいます。水をやる頻度は、苔をよく観察しつつ検討してみてください。

――先程も出てきました「エアプランツ」です。

渡辺:エアプランツは、「水をあげなくても育ちます」、と言われていますが、それは嘘です!(笑)水をあげなくてもいいなら育ててみようと思って買った人は、必ず枯らします。土がなくても育ちますが、それはつまり、木にくっついて生きている事が多いためです。屋外の木にくっついて生きているということは、雨が降れば木が蓄えている水分の恩恵に預かることができます。下に池があれば、気温が上がって蒸気が出てだったり、霧が出たりして、その湿度でエアプランツは水分を受けることができるわけです。つまり、エアプランツは水分がとっても好きなのです。

お水をあげたあとは、しっかり乾かしてください。風の抜けが大事になります。霧吹きで水をやるか、たっぷり水をあげたら扇風機やサーキュレーターで風を当ててください。まずは小さいエアプランツからトライしてみると良いと思います。

――次は「ハイドロカルチャー」ですね。

渡辺:土を一回焼いて滅菌したものになります。そのため、虫の抑止につながりますが、通気性があまりないので水をやりすぎると根腐れしやすいです。そしてハイドロカルチャーのなかにはあまり栄養分がないので、グリーンの成長期にあわせて液体の栄養分を加えてあげるといいですね。

――「セラミスとハイドロカルチャーとの違いはありますか?」という質問がありました。

渡辺:ほぼ一緒だと思って大丈夫です。

――先生、そろそろお時間が来てしまいました。最後にメッセージをお願いします。

渡辺:植物は生き物です。人間のエゴで押し切るのではなく、植物の立場に立って色々と想像したり考えてみる。そういう気持ちを持つことが大切だなと思います。観察して、考える。そしてはじめから上手くいくということはなくて、枯らして失敗してわかるもの、だということが大前提にあります。僕もこれまでたくさんの植物を枯らして失敗してきました。そこから学びを得て今があり、緑をもっともっと好きになりました。ぜひ皆さんもそんな気持ちで緑と接して頂けたらなと思います。今日はどうもありがとうございました。

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渡辺礼人さん

2010年、中目黒に綿密なカウンセリングから「その人のライフスタイルに溶け込む花」を提案する「farver」をオープン。

2014年から2017年まで同じく中目黒に「都会に住む30、40代の植物の概念を変える場所」をコンセプトに観葉植物を扱う「conduit」も展開。

現在はショップワークを中心に広告撮影や店舗のディスプレイ、ブライダル、ワークショップや商品開発等、花にまつわる様々な活動を行う。

https://farver.jp/

手元や高い所などを視聴者にわかりやすく実況中継するために、株式会社デベロップジャパンのオンライン接客サービス「Air-DAM(エアーダム) https://www.djuxd.com/solution/air-dam.html」を使用しました。