都心のベランダでもできる!簡単にチャレンジできる家庭菜園

グリーン

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都心でも植物に囲まれて暮らしたり、家庭菜園で採れた野菜を楽しみたい、と思っている方も多いはずです。そこで今回は、都内のマンションのベランダに100種類もの植物を育てている建築家の東(あずま)章司さんに、家庭菜園の魅力や、野菜や果物を育てる際のコツについてうかがいます。日々の暮らしのなかで気負わずに、楽しく緑と付き合う方法を教えていただきました。

家庭菜園のライブツアーを開始!

――皆さん、こんにちは。早速ですがイベント前アンケートを、本日ご参加のラボメンバーの皆さんに取らせていただきます。どんな方々がご参加されているのか、見てみましょう。(アンケート集計しています)

参加者の皆さんのプロフィールが集計されました。今回は男性のご参加も多いですね。そして関東、近畿、中国、九州と、いろいろなエリアからご参加頂いています。ありがとうございます。そして「家庭菜園を現在やっているかどうか」というご質問に対して、「家庭菜園をしている」は、半数近くいらっしゃるようですね。

それではここで、本日の先生を呼んでみましょう。東先生、こんにちは!

東:こんにちは。個人で建築設計事務所を営んでいます、東章司と申します。8年程前に中古のマンションを購入しまして、一旦スケルトンにしてから、自分たちで全面リノベーションをしました。40㎡のベランダがあり、そこで植物を育てるようになりました。

――ありがとうございます。では早速ライブツアーをお願いいたします。

:こちらがベランダの植物になります。好きな植物を増やし始めたら、100種類を超えてしまいました。特定の植物を揃えようという意識はなくて、例えば葉っぱの大きさや形が揃わないほうが素敵かなと思って、様々な緑を集めています。見て頂いてもわかると思うのですが、大きい葉っぱ、小さい葉っぱ、細長いものや、色の違うものが並ぶようにしています。

:奥にはバジルとか、トマトとか夏野菜を育てている場所があります。そろそろ夏野菜はすべて抜いて、土を入れ替えて、次の季節の野菜を植える準備をします。夏野菜は、家庭菜園を始めるのに一番とりいれやすいですね。ナス、トマトやキュウリなどは手頃ですし、育てるのも簡単で、収穫が楽しめます。

東:それ以外ですと、たとえばオリーブの木。実がなると、それだけで気分が盛り上がります。

東:オススメとしては、僕自身が柑橘類が好きなのですが、レモンはいいですね。当たり前なのですが、本当にレモンの味がして大変美味しいですよ。もう1つの楽しみは、アゲハチョウがレモンの木に卵を生んでくれるんです。その卵を育てて、青虫から孵化するまでを毎年楽しんでいます。蝶々になった姿を子供と一緒に楽しむことができます。

――アゲハチョウって毎年来るんですね。

:そうなんですよね、毎年来てくれるとちょっと嬉しいですよね。

この葉っぱを見てください。ほとんど葉っぱがなくなっている部分があるのですが、この辺りは芋虫が食べた後ですね。

そして……植木鉢をよく見るとたまに、こんなふうにレタスがいきなり出てきたりとかします。以前植えたときのタネなのかが残っていて、生えてきたりするんですよね。そういうのを見ているだけでも楽しいものです。

我が家のベランダは風が強いので、小さい鉢ものは壁沿いに配置しています。

ここは東向きになっていて太陽の光が気持ちよく、朝や昼など家族と一緒にベランダに出て、ご飯を食べたりしますね。

――どこから見ていったらいいのかがわからなくなるくらい、いろんな種類があって迷います。

:季節で見ていくと、例えばこれは桜なのですが、春先に花が咲くとこれもまた気分が盛り上がります。桜が咲くと、ああ春が来たって思います。

奥にあるのがハナミズキなのですが、こちらも春先になるとピンク色の花が咲きます。今の季節ですと、先週くらいまではキンモクセイの黄色い花がたっぷり咲いていて、いい香りがしていました。その下にあるのはミズヒキで、花が咲いていますね。

――桜とかハナミズキって、木なので、まさかベランダにあるとは思わなかったのですが、このような環境でも育つのですね。

:そうですよね、試しに育ててみたら、実際に育つのだなぁと思いました。皆さんのお住まいの環境はそれぞれなので、そのままオススメすることは難しいですが、我が家のベランダでは育っていますね。

隣りあるのはレモンですが、きっとどこかに青虫がいるはずです。だいたい年に4回くらい卵を生んで育っていきますね。

そうそう、ここにはレモングラスもあってですね(葉っぱをちぎっている)、本当にいい香りがするんですよ。

――実をつけて食べられるものもあるし、ハーブなど料理に使えるものもあるし、桜とかお花を見て楽しむものもある。楽しみ方がバリエーション豊かですね。

:そうですね。ハーブなど詳しくなったら料理も上手くなるのかなって思ったけど、もともとあまり料理をしなかったこともあり、上手くはなりませんでした(笑)。ローズマリーだけはここで摘み取って、自分で作る料理に入れることはありますね。

――ラボメンバーから質問が来ています。「バルコニーで植物を育てる場合、土が床に落ちて、バルコニーの水はけが詰まったりしませんか?気をつけていることはなにかありますか?」

:とても大事なことですよね。排水溝は詰まってしまうと、他の居住者の方々にも迷惑がかかってしまいますので、排水溝は常に詰まらないようにこまめに掃除をするなど心がけています。

――先生のベランダの緑はすべて鉢植えですか?

:そうです。すべて鉢植えなので、土が落ちたらこまめにお掃除をしています。実は緑を育てはじめた当初、ウッドデッキって素敵だなと思って、ウッドデッキ用パネルを買ってきてベランダの全面に敷いてみたんです。すると葉っぱの細かいものなどが間に挟まっていき、パネルの下には土ができてきて、生態系も生まれてしまい、いろんな生き物が出てくるようになったんですね。家族会議をしまして、結果、ウッドデッキパネルは撤去しました。

多分この辺の木にもカイガラムシとかがいるんですよね。アリもいますし、ヤモリも来ます。

――家族と一緒に作ってきたベランダなのですね……。

:はい、そうですね。ちなみに、こちらにあるのは、これから植えるのが楽しいかなと思って、先日買ってきたレタスやルッコラの苗です。育つかどうかはやってみて、という感じですが楽しみですね。

イチゴなどは、どんどん伸びていって、根をおろしていきます。2株しか買っていないはずなのですが、隣にあるプランターに根をおろしながら増殖中です。

――それ、イチゴなんですね!この季節でもイチゴの実って成るのですね!

:そうなんですよね、季節が関係なくなっているみたいで、アリに食べられる前に人間が食べなくては、と虫たちと戦いながら育てています。

枝豆も育てています。このケースに土を入れていって、タネを植えて苗を作ります。そら豆のタネって、こんな色をしているんですよ(エメラルドグリーンのような色)。おそらくタネのメーカーが少し加工しているのだと思うのですが、このタネを1つずつ入れていって育ててみて、元気のいい苗を半分残して、あとは処分します。他のものもそうですが、色々育ててみて、元気のいいものを残しておいて、あとは間引いてしまいますね。それが家庭菜園をやる、ということなのだと思います。

――次に何を植えるかどうかは、どうやって決めているのですか?

:ホームセンターに行ってみて、そこにあったもので気になったものを植えています。トマトとナスとそら豆は、必ず育てています。

全部が上手く育つということはないと思っていて、やってみてから、上手くいったら次をやってみる、という感じです。上手くいかないことのほうが多いかもしれません。

――また質問が来ています。「タネから育てたほうが良いのでしょうか。つい面倒で、苗を買ってきて育ててみるのですが、結構枯らしてしまう事が多いので、どっちがいいのかなという質問です」

:苗のほうがおそらく楽だと思います。タネからだと、育てている感を得られるかもしれませんが、元気な苗を買ってきて植えたほうが楽です。

少し話がそれるかもしれませんが、植物って、本来は勝手に育つと思うんですよね。例えばなのですが、アボカドのタネって土に植えれば芽が生えてきて、すぐに大きくなるんです。食べたアボカドのタネを全部植えたら全部から芽が生えてきました。ただ、アボカドって実がなるまでに十年以上かかると言われています。だから、タネを植えて芽が出るというのは、なんとなく自己満足といいますか、アボカドのタネを植えたら芽が出てきたという、そういう体験を得られるということなのかなと。

――先生、質問が続々と来ています。「キンモクセイなどは成長すると大きくなると思うのですが、その都度、大きい鉢に植え替えているのですか?」

:鉢がいっぱいになったら、そこで成長が止まるか枯れるかすると思うんです。だから、そんなに気にしなくてもいいのかなと思っています。大きくなってきて、どうしても植え替えたほうが良さそうだなと思った時点で、植え替えるのがいいのかなと思いました。

例えば今だと……そこにあるガジュマルが鉢からはみ出てきています。特に根っこがたっぷりはみ出ていますね。でもおそらく当分そのままにしておきます。それくらいの感覚でいいのかなぁと思っています。

――「バルコニーですと風が強そうですが、強風対策などはなにかされていますか?」というご質問も来ています。

:鉢などが飛んでいったりするとご近所に迷惑がかかると思いますので、飛ばないようにするというのはすごく大事だと思います。我が家の場合、今まで飛んでしまったことはないですが、台風のときなどは心配にはなりますね。ただ、家の中に入れられる量でもないので、今のところは対策は特にしていません。家に植物を避難させる場合は、越冬できない植物を家に入れるくらいです。ただその時に、虫を家の中に入れたくないので、土の中にいる虫を殺さないといけなくなる。ビニール袋を使って土を30分くらい水に浸けて、虫を溺死させて、出てこないようにするんです。それが面倒だったりします。

:越冬しない植物を家の中に入れて、そのまま忘れて枯らしてしまったこともあります。旅行先から買ってきたコーヒーの木とか、枯らしましたね。悲しいけどしょうがないですね。

――「家庭菜園にどれくらいの時間を費やしていますか?働きながらでもできますか?」

:きっと皆さんのライフスタイルはそれぞれだと思いますし、できる範囲内でやられるのがきっと良いのだと思います。僕の場合は、特に予定がなければ、30分程度毎朝、ひと通り虫を取ったり、水を上げたりしています。今の季節だと日の出とともに起きて、朝4時とかにやっていますね。

――質問が続々と届いています。「レモン、ライム、みかんを鉢植えしています。植え替え時期ってありますか?」

:植え替えですか?えーっと……植え替えしなくていいんじゃないかなぁ。鉢のなかでキツそうになってきたら植え替えてもいいと思います。

――「追肥って定期的にしていますか?」

:そうですね、気づいた時にするくらいです。最近、追肥をしていないなぁって思ったタイミングでやっていますね。

――「お隣との境にある赤い壁はご自分で作られたのですか?」、そして「手すりに掛けてあるプランターは固定されていますか?」

:赤い壁はホームセンターで買ってきた安い材料なのですが、娘が赤いペンキを塗ってくれました。プランターは手すりに引っ掛けてあるだけです。

――私からも質問です。こちらの物件に引っ越されてきた時から、家庭菜園をしようと思っていたのですか?

:なんとなくなんですが、そういうイメージはありました。一番最初に意気込んで、ホームセンターに行って1万円分くらいの緑を買ってきて、ベランダに置いてみたんです。そしたら、とってもショボかった。これはもっと買わないとと思って本などを読み始めたら、欲しい物がいっぱい増えていきました。

――こちらのお家に引っ越される前も、家庭菜園をやられていたのですか?

:いえ、やっていませんでした。この家に引っ越してきてからです。

――茶色の壁にかかっているプランターはどのように固定しているのですか?

:壁の裏側にアルミの棒が引っかかる場所があるので、そこにかけて固定しています。

――先生、そもそもなぜ家庭菜園に興味を持ったのですか?

:娘がまだ小さかったときに、よく公園に行って子守をしていたんです。ただ公園に行くだけだと退屈してしまうから、子守をしつつ公園に行って植物の名前を覚えていこうと思い立ちました。植物とその名前を覚えて言えるようになったら、楽しくなってきました。

:公園で色々と植物について知識をもらったこともあり、自宅で植物を育てる際も、なるべく自分の住む地域で育っている、日本の植物を取り入れるようにしていますね。

影響された本にカレル・チャペック著の「園芸家の1年」という作品があります。その内容に憧れるようになって、植物について調べるようになっていきました。

――公園で植物を学んでいかれたエピソードがとっても素敵ですね。座学のコーナーに参りたいと思います。皆さん、スライドは見られていますか? 先生、ではどうぞ宜しくお願いします。

:最初のスライドは、オススメの植物のお話ですね。先程もお伝えしたように、柑橘類は育てると実がなって美味しくいただけるだけでなく、ナミアゲハというアゲハ蝶が卵を産みにきて羽化していくので、育てて楽しむことができます。

:次はオススメの家庭菜園用の野菜ですが、トマト、ナス、きゅうりは育てやすくて収穫がしやすいので、初心者のかたでも楽しめると思います。野菜用の鉢に竹の支柱を立てると、野菜も育ちやすくなります。

:豆類でいくと、そら豆がオススメです。ただしアブラムシなどがたくさんつくので、常に虫たちとの戦いになります。こまめに取り除くようにしていますね。

:オリーブはその年によって収穫量が変動しやすいかもしれませんが、実をつけるとワクワクしますし、収穫したら保存して楽しめるところが良いですね。

:いずれにしても家庭菜園は、虫との戦いとなります。一匹ずつ手で潰していくのは大変なので、そんな時は「てんとう虫」の力を借ります。てんとう虫って、アブラムシを食べてくれるんです。もし、公園でてんとう虫をペットボトルに入れて持って帰ろうとする人がいたら、その人は確実に園芸やっている人ですね(笑)。

:このスライドは、植え替えをするために、土を黒いビニールに入れて熱消毒している風景です。数日間この状態で消毒してから、次の野菜に移ります。

――なるほど、家庭菜園はいろいろな工夫をすると、より楽しくなるのだなと感じました。そろそろ終わりのお時間が来てしまいました。先生、今日は楽しいお話を聞かせていただき、どうもありがとうございました。最後にメッセージをお願いします。

:こちらこそありがとうございました。植物を育てるって、試行錯誤だと思うんです。枯れてしまってもそれは仕方がないと割り切る。僕も今までたくさん失敗したり枯らしたりしてきました。でも枯らしてしまっても諦めずに、失敗しながら植物の立場になって考えてみたりして、チャレンジしてみてほしいなと思います。こちらそ楽しい時間をありがとうございました。

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東章司さん

一級建築士。東京生まれ。神奈川大学工学部建築学科卒業。「港北ニュータウン」の街路・橋梁の基本設計から、物販店舗設計、各国際設計コンペティションに参加するなど幅広く活躍。設計の仕事を通して、園芸プランナーとの交流もあり、もともとの植物好きが高じて『東京に普通に植わっている植物を我が家の庭(バルコニー)に』というコンセプトで、自宅の40㎡の独立型のバルコニーに観葉植物から家庭菜園に至るまで、さまざまな緑を育て現在に至る。

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