2LDKを大空間ワンルームに大変身。遊び心いっぱいの暮らし。

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築36年2LDK 67㎡のマンションを大胆にワンルームにリノベーションした、TENHACHIさんご一家。2面採光の東南角部屋で、壁を取り払うことで開放的な空間を実現しました。今回は、お宅をライブツアーでご案内します。

3人家族、ワンルームで開放的な空間に暮らす。

4.5mの大迫力のキッチンカウンター、思い切って壁をなくしたバスルーム、ロフトは子供部屋に。 むき出しのコンクリートに木の壁や家具、そして室内に配されたグリーンが、全体に温かみを醸し出す素敵な空間になっています。どこをとっても見どころ満載です。

――TENHACHIさん、こんにちは!

TENHACHI:こんにちは。今日はどうぞ宜しくお願い致します。佐々木 倫子&佐藤 圭で「.8 一級建築士事務所」をやっております。

――リノベーションをされたのはいつ頃ですか?

TENHACHI:2014年ですね。子供と3人暮らしをしています。

――早速ライブツアーをどうぞ宜しくお願い致します。

TENHACHI:はい。まずはこちらのカーテンを開きますと…仕切りのないバスルームになっています。

――まさかのカーテンの後ろに、バスタブが隠れていたとは!驚きです。

TENHACHI:このバスタブと、洗面台、そしてシャワーも、ひと続きの空間にあります。シャワーに入るときはカーテンを使えば、水が跳ねることもなく快適に使えます。

――シャワールームを作ろうと思ったのはなぜですか?

TENHACHI:バスタブもシャワーも見せることを前提に作りたいなと思って設計しました。私や子供はバスタブに浸かることが多いのですが、主人はシャワーで事足りると言っていて、このレインシャワーをよく使っています。

――シャワーの奥の空間も気になります。

TENHACHI:こちらは洗濯機とか掃除道具、パジャマや下着を置いています。扉では仕切っていないのですが、死角の位置にあるので使い勝手がいいです。また、カーテンをあけてお風呂に入ることもあるのですが、そうするとリビングのTVが見えたりして楽しいですね。

――排水とか湿気は大丈夫なのでしょうか。

TENHACHI:バスタブは床の上に置いてあるだけなので、簡単に動かせます。その下に排水溝がありますので、掃除も楽にできます。カーテンをちゃんと閉めれば廊下も水浸しにならずに済みます。

――「床は勾配を付けているのですか?床剤はタイルですか?」というご質問が来ています。

TENHACHI:排水溝に向かって勾配をつけています。床はモルタルの上に、FRP防水を付けて、その上にモルタルを敷いて塗装してます。タイルではないです。

――鏡や洗面台もこだわりがありそうですね。

TENHACHI:全体的に白で統一しているのですが、ここだけ木をアクセントに使いました。

――洗面台の下に収納棚が設置されている場合が多いと思うのですが、その収納は先ほどの洗濯機の棚に置かれているのでしょうか。

TENHACHI:実はこのバスタブのカーテン・レールの上に収納できる棚を付けていまして、そちらに置いています。バスタオルなどを置いていますね。

――見えないところに棚がありました!すごいですね。

TENHACHI:あと、バスタブの向かい側にも収納棚があって、お風呂から出てきたらここで衣類を出して着たりもしています。扉が間仕切りのようになるので、脱衣所のような使い方が出来ますね。

――換気はどうなっているのでしょうか。

TENHACHI:普段はバスタブのカーテンは閉じずに、すべてオープンにしています。お風呂自体はすぐに乾いてしまいますし、湿気がたまらず、自然換気で大丈夫です。

――ありがとうございます。次の場所もご案内ください。4.5mのカウンターが見えてきました。キッチンですね。木の質感が統一感がありますね。

TENHACHI:木材は無垢材を使っています。触れていると手に優しいのと、あたたかみがあって気持ちが良いですし、使っていくうちに味も出てきますね。

――最初拝見したときに、コンロがどこにあるのか分からないくらいスッキリして見えたのですが、こちらはIHですか?

TENHACHI:はい、そうです。この物件にもともと付いていたIHを利用しています。

――なるほど。普段はこちらのカウンターでご飯を食べていらっしゃるのですか?

TENHACHI:IHのあるこの場所で料理を作って、奥のカウンターで食べていますね。

――このキッチンの収納がまるでお店みたいに素敵なのですが、奥様と旦那様でどちらがアイデアを出して作られたのでしょうか。

TENHACHI:お互いが一緒にアイデアを出し合って作りました。見せる収納と隠す収納を分けて考えて作っています。見せる収納にしている箇所は、片付いていることが前提となりますので、物を散らかさないようにしよう、きれいにしようという気持ちが触発されるようになりました。

――見せる収納はこのように吊り下げてあって、隠す収納は後ろの棚の中にあるということですね。

TENHACHI:はい。ここに普段遣いの食器を置いています。冷蔵庫やその隣のスペースは奥行きがあるので、もう少し場所をとるようなもの、つまりゴミ箱や電化製品を置いています。

――コンクリートとステンレス、木と、統一感があって、お店のように本当にオシャレです。そしてキッチンの上の棚が気になりますね。

TENHACHI:調味料や、まな板を置いています。

TENHACHI:包丁も付けるようにしています。

――すごいです。これはオーダーメイドで作られたのですか?

TENHACHI:この包丁用のマグネットは、IKEAで売っているものを取り付けました。包丁って料理を作っているときに置く位置を迷ったりすると思うのですが、これだとさっと取り付けられるので便利です。

そしてこの棚には、電源を通しています。4箇所取り付けていて、ミキサーを使うときなどに電源を取れて便利です。

――すごい機能的ですね。ラボメンバーから質問が届いています。「カウンターの板は、防水対策はしていますか?」

TENHACHI:表面にはウレタンをかけています。そして数年経って汚れてきたので、自分たちでウレタンを塗り直してメンテナンスをしています。

――また質問が来ています。「IHですが、どのように天板に設置されたのでしょうか。天板を購入した後に、大工さんにその場でIHが入るように加工してもらったのでしょうか」

TENHACHI:うちのように木の天板ですと大工さんに対応してもらえるのですが、ステンレス製の天板の場合は工場加工になると思います。

――大きい杉の板をここに配置しようと思ったのはなぜなのですか?

TENHACHI:夫婦で気になっていたカフェのキッチンが、このような天板だったのですね。木目の間に汚れなども溜まりやすいのと、使い込んだ感じがあったのですが、僕たちが設計事務所を夫婦で営んでいる関係もあり、実験的も兼ねて、自宅で導入してみたいなと思って決めました。

――ありがとうございます。キッチンの向かい側がリビングになっていると思いますが、こちらで工夫されているポイントはありますか?

TENHACHI:リビングは天井部分がコンクリートの梁が出ているのですが、その下に棚を取り付けました。部屋をぐるっと囲むように取り付けています。

――素敵ですね、そしてグリーンも多く置かれているのが印象的です。

TENHACHI:グリーンはベンチいっぱいに置きたいなと思っていて、いくつか集めました。

――リビングにある棚もオシャレです。

TENHACHI:無印良品の紙製のファイルボックスになります。シェルフは板だけ大工さんに作ってもらって、フレームは既製品を買いました。

――ご質問が来ています。「キッチンとダイニングテーブルの高さは何センチですか?」

TENHACHI:キッチンが920でダイニングテーブルが750です。キッチンとダイニングで段差があるので高さに差があります。キッチンは打ちっぱなしコンクリート、ダイニングテーブルの床材は木製にしています。椅子はアンティーク屋さんで購入したものや、新品などが混ざっています。

――リビングの棚以外に、工夫があると伺っていたのですが、ご紹介頂けますか?

TENHACHI:テレビを壁掛けにしているのですが、テレビの裏側にコンセントとか、隠したい収納アイテムや、エアコンのドレインが隠れるように、収納棚を作っています。扉も木の壁にそろえて作りました。

――グリーンのご質問が来ています。「オシャレに見せるルールや、購入されているショップがあれば教えて下さい」

TENHACHI:グリーンは見かけたときに、気に入ったものを購入するようにしています。鉢も、プラスチック製なのにコンクリート風の柄のものなども販売されていて気に入って買いました。これからももっと集めていきたいなと思っています。

――ベッドルームについてもご紹介をお願いします。こちらが夫婦の寝室ですね。

TENHACHI:はい、そうです。天井は低いのですが、扉がない分、寝転んだ状態ですと10mくらいの部屋の広さを感じられるので、視界が広がり、開放感があります。

壁の内側もなるべく無駄なく使えるように、収納を作りました。壁の外側も収納になっています。さらに天井にプロジェクターを付けていて、スクリーンもおろせるようにしているので、DVDやTVが見られるようになっています。

――そしてロフトがこの上にあるのですね。

TENHACHI:子供が使っているロフトスペースになっています。子供はリビングで家族と過ごすほうが多いですが、ここでもよく1人で遊んでますね。

――最近リモートワークも進んでいて、ご自宅で作業をされることも多いと思うのですが、実際にリビングなどでお仕事されることはありますか?

TENHACHI:ありますね、近くに事務所があるので主にそちらで仕事をしますが、リビングのテーブルや、ダイニングテーブルで作業をすることがあります。ダイニングテーブルには、電源のケーブルが収納できるようになっているので、そこから電源をとってPCにつないで仕事をしています。

――さてここで、おうちのBefore/Afterが気になられているのではないかなと思いますので、図面をご紹介したいと思います。こちらが現状の図面になります。壁を取り払ってワンルームにされているのがよくわかりますね。リノベーション前はどうなっていたかというと…

――こんな状態になっていました。キッチンの場所も壁も変わっているのがわかりますね。

TENHACHI:実はこの物件は一番最初に内覧した物件でした。壁を取り払っても良いという条件だったのと、方角が南向きで、窓も多くてバルコニーもあるので、いい物件だなと思って決めました。

あまり大きな部屋は購入できないなと思っていたのですね。そして昼間は家族は家に居ませんし、家族が揃うときは3人で一緒に過ごせるといいなと思って、広々使える間取りを考えました。

――暮らしてみて、ここが良かったとか、気に入っているポイントはありますか?

TENHACHI:木をふんだんに使えたことで、木のぬくもりがあるのがいいなと思いました。飽きが来ませんし、一緒に成長していける感じがしていて、とても良かったなと思っています。

――物件を購入して、間取りを計画されてから実行に移すまでは、どれくらいの期間で行われたのでしょうか。

TENHACHI:設計は2ヶ月くらいでできて、工事を含めても3〜4ヶ月くらいでやってしまいました。通常は半年くらいかかると思います。我々の場合、夫婦二人で夜中までかけて根を詰めて設計案を作ってしまえたので、普通よりも時間をかけずにリノベーションが出来ました。

――「リノベーション前提で物件を購入する際、チェックしたほうが良いポイントはありますか?」というご質問が来ています。

TENHACHI:一番注意しないといけないのは、PS(パイプスペース)やシャフト関係がどこに入っているかを確認しておくことですね。間取りが制限されてきてしまうためです。あとはトイレは排水管が太いので、位置を移動し辛いため、トイレの場所もポイントになりますね。窓についても、共有部分になるため位置を移動できないので、それもポイントです。

あとはエアコンのドレインや、梁の位置、ダクトの穴の位置とか、色々あります。基本的に間取りを見るときは、パイプスペースを確認されるのが一番いいと思います。

――キッチンも移動されていますが、こちらは大変ではなかったのでしょうか。

TENHACHI: キッチンは今の寝室部分にありました。キッチンの排水は細いので、床が上がっていれば移動は可能ですね。ただ換気扇のダクトの位置によっては難しい場合があります。この物件の場合はダクトの位置が大丈夫だったので、今の位置に移動出来ました。

――「この部屋ならリノベが出来る、と思ったポイントはどこだったのでしょうか」というご質問が来ています。

TENHACHI:スケルトンにしたときにどうなるかでしたり、PSの場所でしたり、色々と総合的に見て、この物件なら間取りを変えることができるなと感じました。天井もスケルトンにしたときにキレイになっていたので、良かったポイントです。たまに天井に直接クロスが貼られてあったり、マンションの最上階の部屋の場合の天井は、断熱材を貼っているため、天井自体を利用し辛いのですよね。この物件は2Fなのできれいな躯体で使うことが出来ました。

――そしてこのマグカップが並んでいる様子とか、本当に素敵な雰囲気のインテリアになっているのですが、ちなみにマグカップはお好きなのですか?

TENHACHI:はい、マグカップ大好きです。そして妻のお父さん、義理の父が陶芸をやっているので、そちらの作品も飾っています。

またマグカップの棚の下のこのテーブルの下ですが、実は収納があって、便利に使用しています。

――本日はどうもありがとうございました。本当に素敵なお家でした! 最後にメッセージを宜しくお願い致します。

TENHACHI:マンションを探している方は、きっといろいろと夢を持たれていると思うのですが、その夢の部分はプロの建築家や設計士さんと相談すれば叶えることが出来ると思います。そんななか、物件購入を決められないお客様もいらっしゃって、100点満点の物件を3〜4年かけて探されている場合が多い印象を受けます。僕たちがよく言っているのが、80点くらいの物件を探したら、あとはプロにおまかせして相談して作っていくというのが良いのではないかなということです。中古マンションはナマモノなので、決断力を持って決めてしまってから、リノベーションに取り掛かったほうがうまくいくと思います。

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TENHACHI 佐々木 倫子・佐藤 圭

佐々木 倫子
Architect / Designer、株式会社TENHACHI設立 代表取締役・共同代表。株式会社隈研吾建築都市設計事務所を経て、.8 一級建築士事務所 設立し、現在に至る。相模女子大学学芸学部生活デザイン学科 非常勤講師。

佐藤 圭
Architect / Designer、 株式会社TENHACHI設立 共同代表。株式会社一級建築士事務所アルテ・ワンや、IDÉE CO., LTD. を経て現在に至る。東洋大学ライフデザイン学部人間環境デザイン学科 非常勤講師。

TENHACHI https://www.ten-hachi.com/

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