住んでいる家の間取りを「成長させる」リノベーションとは?

暮らしに変化をもたらすイエづくり

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UXD KURASHI LAB.×ToKoSie

家に居る時間が長くなると、間取りを変えたり、リノベーションをしたいなど、「間取りを成長させていきたい」と思うもの。そこでラボメンバーで座談会を実施し、初めてリノベーションをするときに気をつけるポイントや、どんな選択肢があるのかについて意見交換をしました。

ゲストスピーカーとして、「ToKoSie」でリノベ物件を多数取材してきた斉藤アリスさんと、リノベアドバイザーの森諒也さんをお迎えしました。

オンライン会議システムを使った座談会は大盛りあがりでした

ゲストスピーカーの斉藤アリスさんは、過去4年間に50件以上のリノベーション物件の取材をし、ご自身も築35年の物件を購入後リノベーションを手掛けています。

モデルでライターの斉藤アリスさん

宅地建物取引士/リノベアドバイザーで、「nuリノベーション」事業部責任者をされている森諒也さんは、リノベーションのコンサルタントをされていて数多くの案件をご担当されています。

「nuリノベーション」の森諒也さん

リノベーションして収納スペースを増やしたい

写真左奥:畳の小上がりスペースは、下が収納スペースになっている

座談会開始早々、参加しているラボメンバーから次々とお悩みが出てきました。

ショコラ:子どもが大きくなって、モノが増えていくのですが、やみくもにタンスを買っても、部屋が狭くなってしまうばかり。収納スペースを増やしたいと思っているのですが、うまい方法はありますか?(女性・40代)

アリス:収納スペースを増やすのに最近事例として多く見るのが、小上がりを作ることですね。少し高さのある畳や絨毯のスペースを作ります。この上で寝転がったりできるわけですが、下が収納スペースになるわけです。

:部屋の面積は限られているため、大きな増設もできないと思うのですが、部屋の一部に高さをもたせたり、ロフトを増やしたりすると、比較的簡単に収納スペースが確保できますね。そのような事例を私も多く見ています。

ショコラ:なるほど、高さを持たせるリノベーション方法ならそこまで気負うことなく出来そうです。

子どもの成長に合わせて間取りを変えたい

写真左下:電気配線を多めに設置している事例

トマト島:子どもが大きくなって、いずれ巣立っていくわけですが、成長に合わせて生活も変化していくことが見えている中で、構造を大きく変えずに、生活スタイルに合わせた間取りにどう工夫できるか気になります。(男性・30代)

アリス:少し話がそれてしまうように思えるかもしれませんが、電気の配線を予め考えておくという事例があります。上の写真を見てください。現在は広いリビングとして活用しているこの空間ですが、写真左下に電気配線が密集しているのが見えるのが分かりますか? お子さんが産まれたばかりのご夫婦の部屋なのですが、いずれこのリビングの一角を子ども部屋にリノベーションすることを想定していて、その際に電気配線も多めに取っているというわけです。

:後で配線するのは大変なので(場合によっては壁や床を壊したりしないと行けないため)、最初に設計をしておいて必要なときに間仕切りをおくだけにしておくと良いですね。

写真右奥:壁に勉強机を設定している事例

アリス:総面積65平米でお子さんが3人いるご家族のリノベーションの事例もご紹介します。お部屋はワンルームのような作りにしてあり、間仕切りで板のみで子どもスペースを作るなどしています。この子ども部屋の板の外壁は、黒板にしたり、丸穴をつけて子どもが出入りできる遊び空間に。お金もほとんど掛けずに、簡単に作ることが出来るのも良いなと思います。また子どもが大きくなったら、それに合わせて板を取り壊してもいいですし、それも利点かなと思います。

勉強机などリビングの真ん中に置くとスペースを取ってしまうのですが、そこで壁に板を渡すことで長めのテーブル/デスクを作っています。子どもたちも勉強に集中しやすいですし、空間を広く使う工夫にもなりますね。

大規模工事が必要そう……リノベーションに踏み切れない

写真左:キッチンと子ども部屋の間に壁を設置。写真右:キッチンの小窓から子ども部屋が見える。

りょりーまきりょい:家の構造上、壁が動かせなかったりして制限があるのですが、それでもできるリノベーションってあるのでしょうか。構造を変えずにどこまでできるのか知りたいです。(男性・40代)

アリス:リノベーションで空間づくりを上手くやっているなと思う方々って、なるべく「壁」や「扉」を作らずに、空間を分けているんですね。

この写真は、キッチンと子ども部屋の間に壁を付けていて、でも閉塞的ではないんです。扉を作っていないから。扉を設けずに、代わりにカーテンなどで目隠しをすることで、開け締めも解放感を演出できますし、外光も入りやすくなり、部屋全体の風通しをよくしていて、結果的に解放感のある部屋になるわけです。費用も安いですしね。

このお家はTVがなくて、代わりにスクリーン&プロジェクターがあります。見るときだけスクリーンをおろすので、TVスペースが不要。トイレの扉を姿見にしていて、鏡を置くスペースもなくて、部屋も広く感じますし、良い工夫の事例だなと思います。

リノベーションにかかる費用、安く仕上げるには?

「nuリノベーション」が手掛けたリノベーション事例

トマト島:パーテーションを作ったり、壊したりということも可能とのことですが、実際費用感はどのような感じなのでしょうか。

:予め間取りについて計画をしておく、つまりコンセントの配線などを計画しておくと良いと思います。その場合、壁を立ち上げるだけであれば、2~30万円でできる。コンセントなどを配備しなくてはならなくなると、5~60万円とコストがかさみます。内窓を作るとなると、コストがさらに増えることも。

アリス:自分たちで出来ることも、意外と多いんですよね。配管は自分たちではできないけれど、壁に漆喰を塗るとか、ブリックタイルを自分たちで壁に貼るとか。1日でDIYを教えてくれるような教室とかもあったりするんです。壁も、ベニヤ板を使ったりして、あえてチープに可愛く見せてしまうとか。素材にどこまでこだわるかで値段は随分と変わると思います。

固定観念を外すと、やりたいリノベーションが見えてくる

玄関を入るとすぐに寝室が見えるリノベーション事例

ショコラ:ここまで聞いてみて、ドアをなくすとか、小上がりの収納とか、興味が湧いてきたし、今までの概念を覆しているところが、全てが目からウロコで参考になりました。

アリス:空間効率を考えると、廊下やドアは無駄なんですよね。玄関を出ると廊下があるというのがセオリーだけど、部屋を見せたくないという想いが強いからだと思います。

でも、この写真の事例みたいに、玄関の隣に寝室を持ってくる事例も結構多いんです。光が入りやすいスペースは、なるべくキッチンやリビングにして、窓のない玄関に近い部屋などは寝室にする。外から丸見えじゃないかと思われるかもしれませんが、あえて扉も壁も取っ払って「見せる寝室」にしてしまう。住んでしまえば気にならない。部屋と部屋をつなげて廊下をなくせば空間が広くなる。そんなこともあるんですよね。

キッチンを壁付けにすることで、空間が広く感じられる

トマト島:部屋に「抜け感」をどう作るかがとても大切なんだなと思いました。リノベーションが出来なかったとしても、可動式な家具を使うとか、背面がないローチェストを取り入れるとか、空間を遮断しない工夫をすれば、今の家でも十分に広く感じられる部屋にできる可能性があるかなと。

アリス:そうなんです。そして実は、靴箱も扉がいらないんですよね。扉を開こうとするから場所を取るし、扉の厚みだけスペースを取る。壁付けにして、オープンにしてしまうと開放的になります。キッチンもアイランドキッチンより、壁付けキッチンの方が空間が効率的に使えたりしますね。

家具や家電を選んでから、棚や収納を作ると空間が広くなる

斉藤アリスさんのリノベーション事例。ドラム式洗濯機を設置してから棚や収納を作った。

ふーママ:収納のイメージも、この座談会に参加したら変わってきました。(女性・40代)

アリス:収納を先に作るのではなくて、家電や家具を決めてから、それに合わせた収納を作ると、よりスペースを有効活用できますね。

例えばこれは私の家のリノベーション事例なのですが、ドラム式洗濯機を先に購入しました。洗濯機の高さに合わせて、後から棚や収納、洗面台やカウンターを作っていったんです。キッチンも冷蔵庫を下に置いて、その高さに合わせて流しを作りこむだけでスッキリするし、空間も広く使えます。

生活のスタイルに合わせたリノベーションを

おまんじゅう:見せる収納、扉をつけない開放感はいいなと思うけど、埃がたまるのでは?(女性・30代)

アリス:扉があるほうが埃はたまらないのは確かですね。私が取材したリノベ物件のお宅には、ほぼ必ず“猫のしっぽ”のようなモップが置いてありました。ふさふさしたハタキのようなものでみんな掃除してて、それが習慣になっているみたいでしたよ。

大規模な工事をイメージしがちなリノベーション。しかし、ゲストスピーカーから「扉の代わりにカーテンで空間を仕切る」「後から取り壊せる壁を立てる」といった比較的簡単に取り組めそうな工夫の紹介がされると、参加者からは「そういう発想もあったんですね!」という声があがりました。

「参考になったので実際に取り入れたい」という参加者からの声が多かった今回の座談会。様々なアイデアに触れ、自由な発想で考えてみると、自分の暮らしに合った間取りの工夫が見えてくるのかもしれません。

斉藤アリス|モデル・ライター

ロンドン生まれ、愛知県育ち。オーストリア人の父と日本人の母を持つ。明治大学農学部を卒業後、ロンドンの美術大学院にてジャーナリズムを専攻し修士号を取得。現在モデルとして活動しながら、「Hanako」「ToKoSie」などで執筆活動も。また、世界のカフェを巡るカフェマニアで「食べロググルメ著名人」としても活躍中。著書に世界10カ国107軒を訪れてまとめた書籍『斉藤アリスのときめきカフェ巡り』。

画像協力:ToKoSie、nuリノベーション

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