仕事と家庭を両立させる先輩に学ぶ、子育て術とは

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「子育てに時間を取られて自分の時間が確保できない」「家事と仕事を両立させるコツを教えて」など、子育てに奮闘するお母さんたちの悩みを解決すべく開催した、子育てオンラインサロン。

今回はゲストスピーカーに、女優、モデル、タレントとして多方面で活躍しながら、1児の母として育児の楽しさと知識を伝える活動を行っている六車奈々さんを招き、いつも頑張っているお母さんたちの悩みに寄り添って、より良い生活を送る知恵を教えてもらいました。

参加者

ばんちゃん:5歳児と1歳児の母
アトム :小学校低学年と中学生の母
がーべら: 2歳児の娘の母
Twinkle:ご両親と同居する3人の子どもの母

休みのない子育てのなか、体調を整えるコツとは?

体調管理には何よりも睡眠が一番!

朝晩の寒さが厳しくなり、体調管理が難しい季節になってきました。子育てをするお母さんたちは、子どもの体調はもちろん、自分自身の体調にも気をつけなくてはいけないので、気を抜けない毎日を過ごしているのではないでしょうか?そんなラボメンバーのひとりから、六車さんへ質問がありました。

ばんちゃん:子育てって休みがないので、日々の体調を整えるコツを教えてください。(5歳児と1歳児の2児の母)

六車:一番大事なことはズバリ、睡眠です!

レム睡眠とノンレム睡眠の2つの睡眠サイクルが繰り返される

六車:睡眠サイクルって知っていますか?縦軸が眠りの深さ、横軸が時間の流れを表し、ブルーの部分がノンレム睡眠、ピンクの部分がレム睡眠を表しています。人間の睡眠は、この2つの睡眠を繰り返しながら、朝になるにつれて眠りが浅くなっていくんです。ノンレム睡眠とは脳も体も全部眠っている状態で、レム睡眠は、実は脳は起きていて体だけが寝ている状態のことをいいます。成長ホルモンが出て心身の疲れを癒してくれるのは、一番最初にやってくる深いノンレム睡眠なんです。ですので一番最初にやってくる深いノンレム睡眠を確保できれば、1日の疲れを癒したりしてくれる、という仕組みなんです。

でも人間は体内時計に沿った生理機能があるので、夜の12時までに寝ないと、一番最初にやってくる深いノンレム睡眠の時間帯を確保しにくいということが分かっています。最初にやってくるノンレム睡眠のゴールデンタイムを確保できているかどうかということにつきるんですね。日々の体調管理で一番心掛けていることは、このノンレム睡眠のおよそ90分を確保するということを何よりも大事にしているんです。

笑顔になることで免疫細胞が活性化し、免疫力もアップ

もうひとつは「笑う」こと。忙しかったりつらかったり、いろんなことがあると、今日笑ってなかったなっていう日が意外にあるんじゃないですか?でも実は笑うってとても大事なんです。

楽しくて笑うのはもちろんですが、楽しくなくても口角を上げて笑ってみると、唇の周りにある口角挙筋と笑筋がギュッと引き上がるんです。そうすると脳はうっかり騙されて、面白くなくても、あれ面白いのかな?って勘違いをするんですよ。そうするとナチュラルキラー細胞という、体の免疫と戦ってくれる頼もしい細胞が一気に増えるんです。

楽しくなくても口角を上げて笑顔になるだけで人は楽しくなっちゃう。それによって免疫細胞も活性化されますし、私はこの「睡眠」と「笑う」という2つのことは非常に大事にしています。

ばんちゃん:やっぱり睡眠は大事ですよね。ノンレム睡眠の最初の90分の睡眠は、何としてでも確保するっていうのはやってみたいなと思います。でもうちの場合は、1歳の子の夜眠くなる時間が昼寝の時間によってが変わってくるので、20時から22時ぐらいまでの間で寝かしつけてるときもあれば、23時まで起きてたときもあったり。

六車:その時には、なるべく24時までの一番遅い時間に寝るのが多分一番黄金の90分を獲得できると思います。同じ5時間睡眠でも質によって体の調子が本当に違うんですよ。

体内時計は体のさまざまな生体リズムを調整している

六車:こちらは人間が持っている体内時計で、それぞれの時間に何をしているかというのを表しています。生理機能のほとんどがプログラミングされているんです。例えば夜中の2時から3時は成長ホルモンがたくさん分泌され、最も深く眠れる時間です。3時から4時は皮膚の修復が最高潮で、このあたりは次の日のための準備期間なんですね。ここで寝ることによって次の日の準備をしっかりできるから、朝起きて体温や血圧が上がり始めて活動時間帯に移り変わるんです。

徹夜したり、夜更かしして寝る時間が少ないと肌荒れしますよね。それは3時から4時に寝てないからなんですね。こうした生理機能が遺伝子レベルでプログラミングされているので、12時までに寝ることが大事なんです。

ちなみにみなさんは何か、実践している健康法などありますか?

twinkle:私は鼻うがいをしています。塩を少し入れてぬるま湯でやると刺激が少なく、すっきりするので風邪を引きにくくなります。あと首にタオルを巻いています。ドライヤーで首元を少し温めてタオルを巻いたり、足首もドライヤーで温めたりしています。(小学4年生、小学2年生、年長児の3児の母)

六車:素晴らしいですね!まず薬を使わずに塩水っていうのが素晴らしい。薬は駄目ではないんですが、日常的にはあんまり使わない方が良いので、塩水は良いと思います。特に冬場は喉の粘膜が乾燥すると雑菌が入りやすくなるので、それを防ぐためにもまず加湿器を炊いて、首元を温めるということは良いと思います。

体調が優れないときの対処法とは

パートナーに甘えることも大切

ばんちゃん:注意していても風邪を引いてしまったという時のリセット法は、どんなことがありますか?

六車:風邪を引いたなと感じたとき、私はとにかく早く寝ています。もうひとつは、少し頑張ればいろんなことができるときでも、オーバーに家族に伝えてみるということです。夫に「今日ご飯作るの無理だから何かお願いできない?」「今日しんどいから家事お願いできる?」など。本当は自分が頑張ったらできるんだけど、それでつらくなって後々何日も休むことを考えたら、少しオーバーに言って、あえてしんどそうなふりをして早めに寝るというのが私の作戦ですね。

子育てに追われる毎日でも自分の時間をもっと作りたい…

時には何もしない日があったっていいんです

アトム:専業主婦なんですが、子どもが学校に行っている間に家事をして、子どもが帰ってきたら子どもの相手をしてというバタバタとした毎日を繰り返し、1日が終わってしまっています。六車さんは仕事や子育てをしながら、昨年は保育士資格を取得されたと知って、どうやったらそんなメリハリ良く過ごせるのかというヒントや、心構えみたいなものがあったら伝授していただきたいです。(中学3年生、小学校1年生の2児の母)

六車:まずアトムさん素晴らしいと思います。お子さんに全てを向き合っているわけじゃないですか。それはもう立派なひとつの仕事です。でもその中でも自分の生活にもっとメリハリをつけたい、ご自分の時間を持ちたいとのことですが、ちなみに今一番どんなことをしたいですか?

アトム:そうですね……、コーヒーを飲みながら本が読みたいです。

六車:いいですね。そしたらやりましょう!1日ぐらい掃除しなくても死にませんし、1回掃除をやめてみましょう。やっぱり自分へのご褒美ってすごく大事で、その少しの息抜きでまた明日から頑張ろうって思えるじゃないですか。

洗濯や料理はしないと困るけど、どれが手を抜けるかって考えると掃除なんですよね。一日掃除しない日を決めて、午前中好きなことをする日を決めましょう。まずはそうやって自分へのご褒美、ガソリンを満タンにする時間を1回作りましょう。

アトム:そうですね、やってみます。ありがとうございます。

六車:ちなみにどうやって保育士の資格の勉強をしたかというと、短期戦にしたんです。勉強を始めたのが12月で翌年の4月が筆記試験だったんですが、4ヶ月以上勉強したくなかったので、その4ヶ月間だけ2時間早く起きました。短期戦だったからできたんです。この期間だけ死に物狂いで頑張ったんですね。

でも普段私がやっている仕事は、講演の資料を作ったり台本を読んだり論文を読んだりとやることがいっぱいです。でも睡眠を削ったら体が壊れるのは分かっているので何をするかというと、まず手を抜くことを考えるんです。ですので掃除なんて週に3回ぐらいしかしません。料理も冷凍野菜を使ったり、カレーを作ったりなど、とにかく手抜き料理をいっぱいしているんですね。

人生は長いスパンで捉えれば、広い視野を持てる

あとはものの捉え方として、人生の中で今自分がどの地点にあるのかというのを私はいつも考えるんです。例えば、私は40歳までは仕事だけを考えた人生でした。その後結婚して出産したら、レギュラー番組がゼロになったんです。もう私はタレントとして終わったんだっていうぐらいショックを受けました。でも長い人生で見たときに、私は40歳になるまでやりたいことを散々やってきたので、この年齢で子どもという宝物を授かったのなら失うものがあっても仕方がないなって思ったんですよね。自分の時間や自分の仕事を失っても仕方がないな、と。

でも子どもは20年経たないうちに手が離れますよね。そうするとまた自分と旦那さんだけの人生が戻ってきます。そのときに大好きな仕事を続けていたいなと思ったんです。今手放したものがあっても仕方がないけれども、これからの人生でできることは何かと思ったときに、女性に向けて今まで自分が勉強してきたことを伝えていくっていう仕事だったんです。だからこそまず3年は頑張ろうと思って、いろんな論文を読んで勉強していったんです。

長い人生で見たときに、出産して仕事がなかった4~5年は、全面的に子育てを楽しむ時期であり、空いた時間で勉強する時期だったんですね。そうして3年経った頃くらいからオファーが増えるようになりました。

今アトムさんのお子さんは中学3年生と小学1年生ですよね。そうすると、小学校1年生のお子さんも、3~4年経ったら今ほど手がかからないと思います。じゃあこの3年は子どものために満喫しようって思うのもひとつだし、少しずつ手が離れたときのために何かをやり始めるっていうのもひとつ。長い人生の中で今自分がどの点にいるのか、この点が繋がって線になっていくので、まず人生の線で見てその中で自分はどう生きていったら自分が一番ハッピーかということを考えると、毎日の過ごし方が少し変わってくるかもしれません。

アトム:ありがとうございます。毎日目の前のことにいっぱいいっぱいになっていたので、ロングスパンの長い線で見るっていうのは、ハッとさせられました。

家庭でできる、食育のヒントを伝授

自宅の中でも簡単に育てられるラディッシュ(ハツカダイコン)

がーべら:マンション住まいで高速道路に近いため、ベランダ菜園は難しい環境なのですが、そうした住環境での食育の仕方を教えてほしいです。(2歳児の母)

六車:家の中でもハツカダイコンや豆苗を育てたり、ニンジンも水耕栽培などもできるので、そういうのを楽しむのもよいと思います。また私が食育に関してすごく大事にしているのは、好き嫌いです。

子どもって好き嫌いがあって当たり前だと思うんですよね。そういうとき、私は嫌いなものを無理に食べさせないということを大事にしています。トラウマにさせないということです。例えばピーマンが嫌いでも、同じようにカロテンが入ったものならトマトがあるし、しいたけが嫌いだったらまいたけを細かく切れば代替品になります。栄養面のことを考えるなら、絶対ピーマンである必要はないし、絶対にナスである必要はない。それよりも、子どもにまず食事は楽しいということを経験させたいなと思っているんです。

ガーベラさんは自分が子どもの頃、何か嫌いな食べ物はありませんでした?

がーべら:私はピーマンとナスが嫌いでした。

六車:そうですよね。子どもの頃に嫌いだったものが、大人になって食べられるようになったものってあると思うんですよ。

その理由は2つ。ひとつ目は味蕾の数です。舌には味蕾という甘い、酸っぱい、辛いなどの味を感じる味覚神経があります。胎児期からだいたい乳幼児でおよそ10,000個あるんですが、20~30代になるとそれが7,500個にまで減ります。60代以上になると3,000個にまで減ってしまうんです。つまり、大人になればなるほど味が鈍感になっていくんです。子どもは味蕾の数がたくさんあって敏感だから、大人よりも苦味を感じてしまう、酸っぱさを感じてしまうというのがひとつあります。

もうひとつは、大脳の仕業です。子どもは、苦い、酸っぱいものをどう感じるかというと、腐ったものや食べちゃいけませんよという毒のサインであると、生まれながらにして本能で判断することが多いんです。でもだからと言って、このままにはしておきません。なぜかというと、いろんな食べ物に触れていくうちに、苦いと思ったけれども体には良くて、食べていくうちに美味しくなるものもあるんだなと、大脳に学習させていく必要があるんですね。ですので一番いけないのは、トラウマにさせてしまうことだと私は思います。

子どもの好き嫌いは、成長する上で当たり前のことと考えよう

我が家では「おいしいからちょっと食べてみない?」と、まず少しだけ食べさせています。そこで子どもが「まずい!苦い!」と言っても、「これ大人になると美味しくなるんだよ、また次食べようね」と終わらせ、また次の機会に同じように食べさせてみる。これを繰り返すことで、大脳の中で苦くても食べてよいものがあるんだという学習がされていくんです。

また先ほどの「笑う」というのは食べるときも一緒で、同じ食べ物をしかめ面で食べるのと、笑顔で食べるのでは、感じる味が違うんです。これもやっぱり脳の錯覚なんです。

大事なことは、食事はまず美味しく食べること。美味しく食べるためには、笑顔で食べること。また子どもはもともと苦味や酸味に敏感なので、少しずつ慣れさせてあげるというのが、食育の大事なことであるのかなと思っています。

笑顔も食事には大事な要素のひとつ

もうひとつは、例えば2歳を過ぎた頃くらいからは、一緒に餃子を包んでみたり、洗濯物をわざと残して一緒にやるなど、一緒に家事をすることは遊びにもなるんです。どっちが上手にたためるか競争するとか、料理では一緒に食材を切ってみるなど。いつもだったらお母さんが30分料理していた時間が、食育の時間に変わるということなので、なるべく子どもを巻き込むことが食育のひとつなのかなと私は思います。

がーべら:ありがとうございます。すごく参考になりました。実際に料理は子どもに手伝ってもらっていたので、このまま続けていこうかなと思います。

六車:子育てで大事にしていることのひとつに、小さな成功体験をたくさん積み重ねるということがあります。例えばお手伝いできたときに自分でシールを貼れるといったお手伝い表みたいなものを作って、自分のやった頑張りが目に見えるような形にするとよいと思いますよ。達成感や自信にも繋がりますし、小さな成功体験の積み重ねは大きなことへのチャレンジに繋がっていくので、そこがすごくよいかなと思います。

がーべら;自分が子どもの頃は家事を手伝うとき、やらないと怒られるけど、やっても褒められないっていうので、家事が嫌いになっちゃったんですよ。でもゲーム感覚でやってみると、子どもも楽しく取り組んでくれそうですね。

親も子どもも無理なく取り組むのが、賢い子育て術

がーべら:食育で嫌いなものは無理に食べさせなくても大丈夫というのは、すごく納得しました。我が子は肉が嫌いなんですが、肉でとる鉄分はお魚とかに替えてたまに食べさせるぐらいで無理しなくてよいのかなっていうのが、参考になりましたし、とても気持ちが楽になりました。

六車:子どもにとってかけがえのないお母さんではありますが、自分が無理しないように、日々楽しく過ごしていただけたらなと思います。

座談会では尽きることなく質疑応答が続き、少しの工夫で楽しく取り組める子育て術についてラボメンバー同士の情報交換も交えて盛り上がりをみせていました。

子どもと過ごす時間にも変化がみえてきた今の時代、今回の座談会では参加者のみなさんにとって、子どもと自分自身にとっての最適な親子関係を築く機会になったのではないでしょうか。


六車奈々

京都府生まれ。1989年にモデルとしてデビュー。女優、タレントとして活動しながら、2016年に“六車奈々の『食べる美人塾』”をスタートさせ、女性を対象とした美と健康に関する講演活動を毎月開催。2019年には国家資格である保育士を取得。1児の母として自ら育児を楽しみながら、育児の楽しさと知識を伝える活動もスタートさせる。