プロの技を教わりながら、アジのお刺身&なめろう作りに挑戦!

普段は切り身ばかり選んでしまうお魚も、自分でさばけたら料理のレパートリーがぐんと広がりそう…!そんなラボメンバーのために、今回はアジの三枚おろしに挑戦するオンライン体験会を開催しました。

料理講師としても活躍する松岡先生
フードコーディネーターや料理講師として活躍する松岡裕里子さんに、姿造りやなめろうの作り方、きれいな盛り付け方法までを丁寧に教えていただきました。今回は、オンラインだけで魚さばきレッスンを行うので、手元がわかりやすいように「Air-DAM(エアーダム)」という生中継システムを導入。先生の背後から、上からと、カメラを動かすことで、観ている方に伝わりやすいように中継することで、リアルでレッスンを受けているかのように体験していただけたかと思います。

事前に参加者に用意してもらったアジや薬味、盛り付け用のツマなど
まずは先生のデモンストレーションを見学
――まずは魚の下処理から三枚におろすところまで、先生にデモンストレーションをお願いします!
松岡: 今日は、一般的におうちでもさばきやすく、手に入りやすいアジを使います。一尾をさばいて、半身は姿造りに、もう半身は叩いてなめろうにしてみましょう。
では、さばいていきますね。
アジの表面には、鱗が変化した固い「ぜいご」というものがあるので、まずはこれを取っていきます。しっぽの方から頭側に向けて包丁を動かして、取っていきましょう。
ここで、包丁の刃を下に向けてしまうと身が切れてしまうので、ちょっと上に向けて動かすのがポイントです。

アジ特有の「ぜいご」を取り除く
松岡: ぜいごが取れたら、次は鱗を取っていきます。ここでも身を傷つけたくないので、包丁の背を尻尾からお腹のほうに動かして、取っていきましょう。アジは鱗がそんなに多くないので、たくさん取れないからといって心配はいりません。
取り終わったら身をひっくり返し、反対側も同様にぜいごと鱗を取っていきましょう。
――ぜいごは何センチくらいあるものですか?
松岡: アジの身のだいたい半分くらいですね。実はもっと頭の方まであるのですが、こっちはそこまで固くないので、取らなくても大丈夫です。あとで皮も剥くので、しっぽから身の真ん中くらいまでにある、固い部分だけ取れば問題ないですよ。
初心者には難しそうに見えるけど…内臓&エラを取り除こう!
松岡: では次に、エラを取っていきます。胸びれの近くをパカっと開けると、赤いエラがあるのがわかりますか?これを指で引っ張って取っちゃいます。

エラ取りのデモンストレーションを見学
松岡: 次に内臓を取っていくのですが、今日は姿造りにしたいので、アジの頭は残してさばいていきます。頭をザクっと落としてしまうのではなく、腹びれと胸びれを結んだラインに切れ込みを入れる程度にしておきます。
次に、腹びれから肛門のところまで包丁を入れて、お腹を開きます。すると内臓が見えるので、包丁で内臓を掻き出します。包丁でやりづらい場合は、指でもいいので、しっかり奥まで取り除きましょう。
お腹の中をよく見ると、骨の近くに血合いがあるんですね。ここに膜がある場合があるので、包丁でちょっと傷つけてください。

内臓を取ったら、冷たい水でしっかり洗おう
そうしたら、残った内臓や血をお水できれいに洗い流してください。エラや頭の方も洗ってくださいね。この時、まな板と包丁もさっと洗いましょう。
洗ったアジは、キッチンペーパーなどでよく拭きます。水気が残っていると臭みの原因になるので、お腹の中までしっかり拭き取っていきます。
最難関・三枚おろしの手順をしっかりチェック!
松岡: ではここから、頭を残した三枚おろしにしていきましょう。「腹背背腹」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、お腹→背中→背中→お腹の順で包丁を入れていきます。
まずはアジの頭を時計の1時の方向に向けて置きます。その状態で、お腹に切れ込みを入れていくのですが、真ん中に骨があるので、骨が包丁の下にあることを感じながら、切れ込みを入れます。

「腹背背腹」の順に包丁を入れる
次に、魚をくるっと回して、今度はしっぽが1時の方向を向くようにして、背中側に包丁を入れていきます。
――三枚おろしは身が厚くなったり薄くなったりしがちですが、なにかコツってありますか?
松岡: やっぱり、骨のすぐ上に刃を入れて、骨のすれすれを切ることですね。
次に身をひっくり返して、こちらは背中→お腹の順に同じように包丁を入れましょう。最初は軽く切れ込みを入れ、2回目で深く包丁を入れて切っていく感じですね。
次に身を剥がしていきますが、まずはお腹側から背中側に包丁を貫通させます。刃を頭側に向けて、手でしっぽを抑えて、包丁をがががっと引いてみましょう。刃を裏返したら、今度はしっぽ側に包丁を引くと、身が取れます。

半身が取れました!
包丁に骨がぶつかってやりづらい場合があるので、ちょっと力を入れて引きましょう。
裏面も同じように身を剥がすと、骨、上の身、下の身の三枚おろしが完成です!
さあ、参加者の皆さんも実践してみましょう!
松岡: では、皆さんもやってみましょう!よろしければカメラで手元を見せてもらって、わからないところは聞いてくださいね!
bisccco: 早速わからなくなってしまいました(笑)。まず何をするんでしたっけ?
松岡: まずぜいごという、固い部分を取っていきましょう!
種: (ぜいごを見せながら)これで合ってますか?
松岡: あ、そうそう!種さん合ってます!
bisccco、abeko: おお、早い!
松岡: ぜいごが取れたら鱗も取っていきます。しっぽから頭に向かって包丁で撫でるように。
abeko: これは、包丁の刃の方を使っていいんですか?
松岡: 刃の方でもいいんですけど、背の方が安心ですね。鱗の次はエラを取っていきます。

参加者もそれぞれに実践スタート!
種: エラの部分、手で? これ、手で触ってグリっと取るんですか?
bisccco: なかなか取れないんですけど、引っ張っちゃって大丈夫?
松岡: エラと内臓は繋がっているので、引っ張って大丈夫ですよ。内臓も取れたら、お腹の中とエラや頭の方も洗いましょう。

abeko: 洗う時は、水の方がいいんですか?
松岡: そうですね、温かいと魚の鮮度が落ちてしまうので、冷たい水がいいですね。
三枚おろしに悪戦苦闘!
松岡: では、下処理が済んだところで、三枚おろしにしていきましょう。
abeko: 切り込みを入れる時の包丁の使い方が難しいですね…。
松岡: 包丁の下が骨に触れている感覚、ありますか?
bisccco: あ!骨が刃先に当たる感じ、わかりました!
abeko: うんうん、ちょっとゴリゴリ進む感じですね。

画面を見ながら、アドバイスを送る松岡先生
bisccco: 先生、裏面のお腹側がうまく切れないのですが…。
松岡: その場合は、骨よりちょっと上側に包丁を入れても大丈夫ですよ。
皆さん、三枚におろせましたね!では次に、身に残っている大きな骨を取っていきます。包丁を寝かせて、そぎ切りするかんじですね。
bisccco: ど真ん中にある、プツプツした骨はそのままでいいんですか?
松岡: その骨は、この後骨抜きで取っていきます。この骨は、お刺身など生で食べる時は抜いた方がいいですが、アジフライとか焼いたりする時は残っていても全然大丈夫です。骨抜きは100円均一でも売ってますよ。
bisccco: 骨を抜く時は、どの方向に引っ張ればいいですか?
松岡: しっぽを左にして、右斜め上に引っ張ると抜きやすいです。
なめろうとか、最後に身を叩いて使う場合は、半身をさらに縦半分に切って、骨部分を薄く切って取り除いてもいいですよ。

先生の手元も映して、わかりやすくレクチャー
骨が抜けたら、次は皮を取ります。これも、焼く時は剥かなくていいのですが、生で食べる時は剥きましょう。
身を裏返して、一番色が濃くてとんがってる部分を指でぺろんとめくり、取っ掛かりを作ります。そこに包丁の背を当てて、ぐりぐりと引っ張りながら皮を剥がしていきます。
姿造り、なめろうを作っていこう!

松岡: では、お刺身の切り方です。
皮を下にして、包丁を斜めに入れてそぎ切りにしていきます。
種: おいしそうに切れないです…。
松岡: なるべく1回ですっと包丁を引いて、あまりギコギコしない方がいいですね。
abeko: 包丁もしっかり研いでおかないとですね。刺身包丁、欲しくなりました(笑)。

松岡: 次に、なめろうを作っていきましょう。
みじん切りにした薬味と、粗めに叩いたアジをまな板の上でさらに叩きながら混ぜていきます。
細かくなって混ざってきたら、ここにお味噌を入れましょう。半身で小さじ1くらいの量がいいですが、好みで調整してください。

アジに薬味、味噌を混ぜていく
abeko: 味噌をうまく混ぜるにはどうしたらいいですか?
松岡: 包丁で撫でるように伸ばして、また集めて叩く、を繰り返すといいですよ。
最後に、プロっぽく盛り付けて完成!
松岡: では、お刺身を盛りつけてみましょう!頭を残した骨に竹串を刺して、飾りに使います。竹串がない場合は、つまようじでも代用できます。
そして、空洞の部分にツマやワカメを置きます。そこに大葉を立てかけるようにして、手前にお刺身に盛っていきましょう。

お店で出てくるお刺身みたい!
bisccco: お刺身を盛る向きって、決まりがあるんですか?
松岡: 皮を上にするといいです。
なめろうは、大葉を敷いたお皿に山高に盛り、ゴマを振りかけます。
お刺身は生姜醤油が合うので、それで召し上がってみてください。
――皆さん完成しましたね!どれもおいしそうです!

――先生、最後に魚をおろす時のコツを教えてください。
松岡: できるだけ手早くやることですね。時間がかかると魚がどんどん傷んでしまうので、最初は難しいですが、何度もやるうちに手早くさばけるようになると思います。
普段はなかなかハードルが高い三枚おろしも、体験会として皆でトライすることで、楽しい時間となりました。これをきっかけに、参加者の皆さんはいろんな魚料理に挑戦して行けそうですね!

松岡 裕里子 (まつおか ゆりこ)
フードコーディネーター、料理講師
ABCクッキング渋谷スタジオで料理講師を務めながら、様々な料理家やフードコーディネーターのアシスタントを経験し、レシピ本、広告、CM、TV番組での調理や、レシピ開発、企業向け料理教室での講師などで活躍中。