理想のライフスタイルを実現するために!地方移住者の実体験を聞こう

近年、地方での暮らしに憧れを抱き、移住を検討する人が多くなっています。しかし、地方移住を考えてみたものの、「移住先はどうやって決めたらいいの?」「仕事はどうやって見つけたら…」「リモートワークって大変じゃないの?」など、疑問や不安も尽きないのではないでしょうか。


そこでUXD KURASHI LAB.では、「地方移住×リモートワーク」をテーマにしたオンライン座談会を開催。2017年に長野県小布施町に移住し、コワーキングスペースの運営をしながら、リモートで東京の企業の仕事も行っている塩澤耕平さんをゲストに招き、様々な実体験を語っていただきました。
オンライン座談会への参加者は地方移住を考える4名。まずは自己紹介からスタートしました。
MC・Aya(以下、Aya):まずは今回のオンライン座談会に参加しようと思った理由をお伺いさせてください。
クリス:昨年、子どもが生まれまして、子育てをしながらも将来の生活環境をどうしていこうかと夫婦で悩んでいました。地方移住という選択をずっと検討していたので、今回の座談会に参加しました。
たら:私もこの春に2人目の子どもが生まれまして。それをきっかけに来年、故郷の九州に移住することになり、今いろいろと動いているところなので、いろいろなお話が聞けたらと思っています。
種。:私は今すぐに移住したいと考えているわけではないのですが、いつかは自然が多いところへ行って、のんびりと暮らしたいと思っています。その第一歩になればと思い参加しました。
ばんちゃん:私は実家が伊豆にありまして、とても好きなエリアなので戻って暮らしたいと思っています。でもそこで何かビジネスをするときに、どのようにして情報を集めていけばいいかと悩んでいて…。経験者の方にそのポイントなどを聞けたらと思っています。
地方移住へのファーストステップ、情報集めはどうやるの?
Aya:現在、移住先の候補はありますか?
クリス:すごい田舎での暮らしに憧れているわけではなく、自然と都会がミックスされた地方都市をイメージしています。
種。:私は東京出身で、今住んでいるところにも故郷にも特別な思い入れがありません。自然が多いところというイメージでしょうか。
たら:私は福岡への移住が決まっていますが、最初は全国移住オンラインフェスのようなイベントに参加しました。福岡県の窓口の方に相談させてもらい情報を集めていきました。
塩澤:私が長野県の小布施町に移住したのは「小布施若者会議」というのに関わったのがきっかけです。これは小布施町が8年ほど前から始めている事業です。35歳以下の若者が3日ほど町に滞在して、町としての課題を見つけ、話し合って解決策を考えるというものに参加しました。
Aya:塩澤さんは実際に移住する上で、どのように情報収集されたのですか?
塩澤:私は長野の駒ヶ根市出身なのですが、前職をやめたのは長野に戻りたいからという理由でした。やはり移住を考えるにあたっては、いろいろとアンテナを張っていましたね。雑誌をチェックしたり、移住者のSNSを見たり…。そのなかで特に参考にしたのは、移住するときにいきなり山奥に行くのは考えものだという意見。例えば、地方都市に一度移住してみて、そこが不便に感じて都会に戻るのか、さらに自然の多い環境で生活したいのかをもう一度検討したほうがいいと思います。
クリス:なるほど。移住しても、戻りたくなれば戻ればいい。ある程度の余白を持って移住するのがいいのかもしれないですね。
塩澤:情報は調べすぎると「もう決められない!」となることも。そんなときは候補地に観光以外で1~2週間、滞在してみるというのもいいかもしれませんよ。

やっぱり不安な移住後の仕事探し。考え方のポイントは?
Aya:塩澤さんは今どのようにお仕事をされているのですか?
塩澤:大きく分けて3つの仕事を行っています。まず小布施町で「HOUSE HOKUSAI」というコワーキングスペースを運営しています。ふたつめは、先日任期が終了したのですが、「地域おこし協力隊」という制度で役場の仕事をしていました。最後が東京の仕事で、お客さまの代わりにネットショップ作りを行うという仕事をしています。
Aya:どのようにして今のお仕事・ワークスタイルにたどり着いたのでしょうか。
塩澤:「小布施若者会議」をきっかけに小布施町に関わるようになった頃に、町の使っていない建物を再利用するというプロジェクトがあり、コワーキングスペースをやってみようと2018年に立ち上げました。
ばんちゃん:地方でビジネスをするときに、どういうものだったら持続できるとか、地域に貢献できるビジネスの方がいいとか、何か注意点はありますか?
塩澤:ライフワークでゆるくビジネスをやっていても、やはり赤字のビジネスは難しいですよね。金額の幅は少なくても利益が出るようなビジネスを考えるのは必要です。そこで「地元のために」とかを考え出すと、正直、収拾がつかなくなるかもしれません。基本的には自分がやりたいことをビジネスにして、後に地元周辺のお客さんがついてくれるようなことをやっていくのがいいのではないでしょうか。
クリス:私は今、フリーランスでフォトグラファーをやっています。地方は地方で写真の仕事はあると思うのですが、東京よりも量は少ないと思っていて…。写真に限らず新たに何か仕事を作っていく必要もあると感じています。地方にある新しい需要とかはどういったものがあるのでしょうか。
塩澤:東京で進んでいることが、地方では進んでいないということは多いと感じています。フォトグラファーの業界でも、東京と地方の違いがあると思いますが、そのギャップを埋めることが重要になるのではないでしょうか。そのあたりにビジネスチャンスがあったりするかもしれませんね。

コミュニケーションが取りにくい?リモートワークの難しさとは
たら:東京の仕事をリモートで行う際に、何か困ったこととか解決方法とかはありますか?
塩澤:私も最初はリモートワークが苦手で、慣れるのに時間がかかりました。対面で顔を見ながら仕事をするのと違って、コミュニケーションがうまく行かないことが多かったと思います。コロナ禍が始まる前は頻繁に東京に来て、なるべく対面で仕事をしていました。しかし最近になって変わってきたと感じているのは、Web会議の環境が整ってきたということです。Web上ですが定期的に顔を見て話すことで、コミュニケーションを取りやすくなったと思います。

種。:逆に移住先でのコミュニケーションで、難しかったことはありますか?
塩澤:地方にはその地方のルールがあって、そのルールに沿って生活することが求められるのはありました。そんなに大変なことではないのですが、ご近所さんとの関係性が東京よりも濃くなるので。地元の方々と仲良くなるなかで、自分のスキルが新しい仕事につながるということもあると思います。
新天地での新しい環境が、自分の価値観を変えるかも!
Aya:これから移住される方や移住を検討されている方に対して、アドバイスはありますか?
塩澤:最近は、移住に関してライトに相談できる制度が増えています。メルマガを発行している自治体も多いですし、小布施では「バーチャル町民制度」というオンラインで町民になれるという企画も考えています。移住相談の前に、こういった制度を利用して情報を集めるのもいいと思います。

Aya:なるほど。では移住先での生活についてのアドバイスをお願いします。
塩澤:人とのつながりをどのように作っていくかというのは、やはり不安ですよね。その土地に足を運んで、知らない人に話しかけるというよりも、お気に入りのお店や場所を見つけて、そこに通うことでだんだんとできていくような人間関係が、より自然だと感じています。
ばんちゃん:少しずつ「自分の居場所」を作っていけるような場所を選ぶということですね。
塩澤:私は住む場所が人を作るということがあると思っています。例えば、『恩』を渡すと、向こうから『恩』が返ってくるというような文化が地方には根強く残っています。移住とはそういった価値観に自分が染まる場所でもあるのです。都会にはない価値観が自分に合っているかどうかも含めて、移住を検討されるのがいいのではないでしょうか。
「夢の地方移住生活に少し近づいた」オンライン座談会が終了!
Aya:では、最後に本日の座談会の感想をお聞きしてもよろしいでしょうか?
クリス:東京で当たり前のことが地方では足りていない部分があるということをお聞きして、自分の仕事につながる可能性が見えたと思います。貴重な情報ありがとうございました。
たら:私は移住することが決まっていて、今後の仕事やリモートワークについて不安がありましたが、今日のお話を聞いてとても参考になりました。ありがとうございます!
種。:「いつかは移住を」と思いつつ、将来の夢のように描いていた地方移住でしたが、今日のお話を聞いて1歩、2歩くらい近づけたと感じています。考えるきっかけをありがとうございました。
ばんちゃん:地方移住をしている方のリアルな体験談を教えていただき、具体的なイメージが少し湧いてきたと思います。ありがとうございました。
塩澤:地方には存続が難しい自治体もあります。ですが、私が希望を持っているのはそのなかでも新しい取り組みをやろうという自治体が増えてきていることです。小布施市もそのひとつになろうとがんばっている最中です。また、皆さんと地方生活の話ができるのを楽しみにしています。
「地方移住×リモートワーク」をテーマに、体験談あり、相談あり、アドバイスあり…、盛りだくさんの座談会となりました。
「地元に帰りたい」「自然のなかで子どもを育てたい」「野菜づくりをしながらスローライフを」など、理想のライフスタイルを実現するため、これをきっかけにあなたなりの地方移住を考えてみてはいかがでしょうか?

塩澤耕平さん
IT企業、ヘルスケアベンチャーなどを経て、2017年から長野県小布施町に移住。小布施町の地域おこし協力隊などにも携わる。現在、小布施町でコワーキングスペース「HOUSE HOKUSAI」を運営しつつ、リモートで東京のクライアントからの仕事を請け負う。