リノベ物件にヒントあり! 収納の悩みを解決するテクニックとは

「ものが多すぎて、部屋が片付かない…」「奥にしまいこむと、いざ使うときにどこにあるかわからない…」「そもそも家に収納が少ない…」など、「収納」の悩みは尽きないもの。年末の大掃除に向けて、少しでも多く収納のアイディアやテクニックを知りたい人も多いのではないでしょうか。
今回は、収納に悩む3名のラボメンバーに参加いただき、「収納のお困りごとを相談しましょう」をテーマにオンライン座談会を開催しました。

ウェブマガジン『ToKoSie』のライターとして、多数のリノベ物件を取材してきた斉藤アリスさん。
ゲストはライターとして4年以上にわたり、多数のリノベ物件を取材してこられた斉藤アリスさん。いままで取材したリノベ物件のなかから、あっと驚くような収納テクニックの実例を紹介し、収納に関するさまざまな悩みについて答えてくれました。
ものを増やさないために!あえて"見える"収納を
まずは、アリスさんのお宅の収納を紹介いただきました。
アリス:私は1年半前にマンション物件をフルリノベーションをしました。まずは私の家の収納方法について紹介しますね。これがクローゼットのなかですが、服がものすごく多いので、上下のスペースを有効利用できるように板を渡しています。下には透明のケースを置いて自由にカスタマイズできるように。板の高さも固定ではなく、変更できるように作ってもらいました。

調節可能な板を渡すことで上下の空間を有効利用。
アリス:洗面所は、タオルとか化粧水とか基本的に使うものは全部手が届く場所に置いています。やはり目に見えないと、使わないものまでたまっていってしまいますので。大きな鏡の下にも板を渡して、歯磨き粉などの小物が置けるようにしています。また、シンクは洗濯機の高さに合わせて作っています。家電を決めてから内装を設計すれば、家電を置くスペースに無駄が出ません。

棚を多く設けてものを置くことで、スッキリとした印象に。
アリス:最後はキッチンです。どうしてもものが多くて、ごちゃごちゃしてしまいがちなキッチンですが、ここもできるだけ上下スペースを利用しながら”見える”場所に置くようにしています。やはり調味料も手に届かないと、いつのまにか賞味期限が切れているなんてこともありますので。

調味料や調理器具などを、目と手の届く場所に配置されたキッチン。

アイランドキッチンの下には鍋などを"見えるように"収納。
ここで、参加者の1人からこんな相談もありました。
Mayu.yoga:子ども2人分のおもちゃや、夫のものが際限なく増えていってしまって…。どのように収納していいものか、わからなくなってしまっています。
アリス:ものが増えていってしまうというのは、みなさん共通の悩みだと思います。使わないものが増えすぎると、家の収納力だけではカバーしきれないので…。私のなかでは「1年使わなかったものは、一生使わないと考える」というルールを決めています。見える収納のいいところは、常に見えるからこそ、そのものが本当に必要なのかを考えるきっかけになること。奥の方にしまってしまうと、考えるきっかけもなく、居住スペースが少なくなるだけですから。
天井・壁際の空間を上手に使って、居住スペースを広くするコツとは?
ここからは、アリスさんが取材したリノベ物件の写真を見ながら、空間を有効利用するテクニックの実例を紹介してくださいました。
アリス:こちらのお宅はお子さん3人と夫婦の5人家族。左側の壁に板を渡して子どもの勉強机にしています。お子さんが多いので、真ん中に大きなテーブルを置いてしまうと、それだけで部屋の空間を占めることに。壁際のスペースを上手に使うことが、収納や生活空間を確保する上で大きなコツだと思います。

https://tokosie.jp/renovation/10080/
左の壁際は子どもたちの勉強スペース、黒板の裏は子ども部屋として活用。
アリス:キッチンは壁付になっています。空間効率がいいのはアイランドキッチンよりも壁付キッチンの方ですね。上下には板を渡して、大きな鍋などを収納しています。シンプルな構成ですが、天井や床付近の空間を上手く使っているいい事例だと思います。

https://tokosie.jp/renovation/10080/
上の棚には頻繁には使わない鍋や、蒸し器などを収納
アリス:「壁収納が上手くできない」といった相談もよくいただくのですが、次は素敵な壁収納をされているお宅を紹介します。壁収納のコツは全部の棚にものを収納するのではなく、観葉植物など見せるものを置く棚があるといいと思います。こちらは窓の位置を生かしてベンチにしているという面白いお宅で、遊びを入れながらオシャレにアレンジされています。
収納のアイディアが満載!DIY可能なテクニックも
さらにDIYでも対応できる収納テクニックも紹介してくれました。
アリス:洋服の収納に悩んでいる方も多いと思いますが、特徴的なクローゼットを紹介します。このお宅は玄関を開けるとすぐに不思議なカーテンのスペースがあって、このカーテンを開けるとそこがクローゼットになっていました。クローゼットはハンガーをかけるパイプが引き出せるようになっています。こういったスペースがあるお宅でしたら、DIYでも作れるのではないでしょうか。

https://tokosie.jp/renovation/5866/
子ども用の2段ベッドを置く予定の空間を活用。
アリス:リノベされる方に人気の収納に「小上がり」という方法があります。これは部屋の一角に、一段上がったスペースを作って、そのなかに布団などを収納するというもの。上に座ったり、来客があったときには上にお布団を敷いたりもできるので、使い勝手がいい収納方法です。
アリス:最後に紹介するのはアイディア満載のお宅です。フランス出身の旦那さんと日本人の奥さん、お子さんが2人の4人家族。まず玄関に入ってきて見えるのが、筒を並べたシューズクロークです。いろんな大きさの筒を集めてきて組み合わせたという、お金のかからないアイディア靴箱ですね。

https://tokosie.jp/renovation/8039/
自分たちで集めてきた筒で作った簡易的な靴箱。
アリス:玄関の横にはロフトがあります。実はここは白い枠の上に板を置いているだけの構造になっています。白い枠を全て取ると何もない空間になります。下の収納棚にはIKEAで揃えた箱を入れているだけ。まさにDIYなんです。
アリス:キッチンには、瓶の蓋を板にくっつけた収納もありました。瓶をクルクルと回すと、なかのものが取れるという仕組みです。見た目もきれいで、空間を上手く利用したすばらしいアイディアだと思います。

https://tokosie.jp/renovation/8039/
瓶の蓋を板に固定しただけのアイディア収納。
広々とした「楽しめる空間」で、気持ちもポジティブに!
実例と共に収納のテクニックとアイディアを知り、参加者たちからはさまざまな感想が上がりました。
種。:私も奥にしまってしまうと忘れてしまう性格なので、見せる収納を心がけたいと思いました。見せる収納をするためにも、少しものを厳選しなくてはいけないですね。リノベ物件にも憧れていたので、とても参考になりました!
Mayu.yoga:収納をするには、まず自分の家にあるものを把握することから始めないといけないと感じました。今回知ったアイディアを少しずつ採り入れようと思います!
twinkle:アリスさんのお宅のカスタマイズできるクローゼットとか、実際にやってみようと思うアイディアがいくつかありました。DIYで作れる収納にも挑戦してみたいと思います。
アリス:DIYの一日教室なども開かれていたりするので、そういうものを利用するのもいいと思いますよ。ぜひ挑戦してみてくださいね!
私もいまの家に引っ越しをして感じたのですが、空間が広々と使えるというのは想像以上に気持ちがいいことです。キチンとものがしまわれていて、観葉植物などを置ける『楽しめる空間』に住んでいると、気持ちも前向きになりますし、進んでお掃除をしたくなってきます。思っているよりも人生のプラスになりますよ!
実例をもとにたくさんの収納テクニックが紹介され、アリスさんが収納に関する相談に答えてくれた今回の座談会。参加者たちは収納に関する悩みを解消すると共に、収納・片付けのモチベーションアップにもつながったのではないでしょうか。

オンライン会議システムを使い、終始なごやかな雰囲気で座談会が行われました。

斉藤アリス|モデル・ライター
ロンドン生まれ、愛知県育ち。オーストリア人の父と日本人の母を持つ。明治大学農学部を卒業後、ロンドンの美術大学院にてジャーナリズムを専攻し修士号を取得。現在モデルとして活動しながら、雑誌『Hanako』やウェブマガジン『ToKoSie』などで執筆活動も。また、世界のカフェを巡るカフェマニアで「食べロググルメ著名人」としても活躍中。著書に世界10カ国107軒を訪れてまとめた書籍『斉藤アリスのときめきカフェ巡り』(エイ出版)。