リモートワーク向けの空間改造を行うノウハウ。

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自宅でリモートワークをする人が増えて、作業スペース作りに関する注目度が上がってきています。今回は、リモートワーク向けの空間を作るべく、今住んでいる家をリモートワーク向けにするにはどうすればいいのか、具体的なノウハウを、EcoDecoの岡野真弥さんをお招きしてお話しを伺いました。仕事部屋を作る際の居住空間の動線の考え方、適した家具の配置などさまざまなコツなどについて教えて頂きます。

ワークスペースを作る時に知っておくとよいこととは

岡野:こんにちは。リノベーション会社「EcoDeco」で設計士・宅建士として携わっている岡野と申します。不動産の物件探しから、リノベーションの設計までトータルでサポートしています。

EcoDecoでは2006年から各種リノベーション事例をWEBサイトでご紹介しているので、参考までにご覧頂けると良いかなと思います。またオンラインでリノベのセミナーもしていて僕も担当しています。

――いろいろなかたちで情報発信されているんですね。今回は事前にラボメンバーからさまざまなご質問を頂いています。

――お家にいる時間が増えている今だからこそ、ワークスペースや導線など気になることや課題が目立ってきているようです。

岡野:これからリモートワークスペースは、ますます需要が増えてくると思います。ご自宅の中にワークスペースを作られている方は過去にもいらっしゃって、僕たちもお手伝いさせていただいていました。弊社のPinterestでも事例を多くご紹介しているので、住宅環境を考える上で参考になったらいいなと思います。

ワークスペースにはいくつかパターンがあって、本日は5つのパターンを見ていきます。

岡野:5つのパターンは、①キッチン併設、②リビング脇(オープン)、③リビング脇(セミクローズ)、④玄関先の土間スペース、⑤個室、になります。
昨今の「働き方改革」の影響でテレワークスペースの需要が高まってきていて、今まさに設計段階に入られている方のなかでも、作られる方が多いです。今回ここでご紹介するのはそれ以前に作られたものになります。今後もニーズに応じて様々なパターンが増えてくるかなと思います。

――なるほど。それでは実際に事例を見させてください。

キッチン併設型で“ちょいっ”ワークスペース

岡野:「キッチン併設型」の例をご紹介します。この方は、ご主人がグラフィック系の仕事をされていて、週末に仕事を持ち帰った時に作業ができるスペースが欲しくて、キッチン脇のこの場所に作りました。家族皆んながPCを使えるスペースとしても利用しています。

画像提供:EcoDeco

――すごくスッキリとして見えますね。

岡野:特徴としては、リビング・ダイニングは今まで通りの場所として使えることですね。将来的には子どもの勉強スペースとしても活用できるかなと思います。リビング・ダイニング・キッチンは南側に設計することが多いので、日中テレワークをしている時に明るくて気持ちの良い場所として、キッチン併設型の案はいいかなと思います。

デメリットがあるとすれば、スペースが狭くなりがちなのと、家族が部屋にいるときは仕事に集中しづらいかなということですね。

リビング脇(オープン)に一体感のある仕事空間

岡野:LDKの空間で、キッチン側ではなくリビング側にワークスペースを設けた事例をご紹介します。美術関係のお仕事をされている方のお部屋でして、仕事だけでなく、趣味の創作活動もここでできるようにということで、工房のように使われているワークスペースになります。

――この棚とか机とかは作り付けなのですか?

画像提供:EcoDeco

岡野:そうですね、机や本棚はリノベーションの際に現場で作ったものになります。写真中央部分にある、古材の丸テーブルと椅子はもともとお持ちのもので、実は丸テーブルは足が2脚しかなくて自立できないのですが、気に入られているとのことだったので机を小さめに作って、そこに寄り添うような形に設計しました。

部屋の位置的には、玄関から入ってすぐの、この色のついた場所になります。

岡野:キッチン併設型と似ているものの、リビングとの距離感が近づきますね。家族や子どもがリビングでTVを見たりくつろいでいると、仕事に集中しづらいかなというデメリットもあります。

また他の方の事例ですが、もともとリビング脇にあった押入れを撤去して、そのくぼみを利用してワークスペースにしているケースもあります。写真の左奥の部分ですね。

画像提供:EcoDeco

――ちょうどよい場所に押し入れがあって、うまく活用することができたんですね。

可動式の棚を利用した、リビング脇のセミクローズタイプ

岡野:リビング脇にワークスペースを設けるタイプなのですが、オープンなタイプと違って、少しだけ“閉ざす”ことができるのが特徴です。写真の右側の棚、見えますでしょうか?この棚にはキャスターが付いていて、可動式になっています。

画像提供:EcoDeco

岡野:別の角度から見た写真がこちらです。

――裏面が黒板みたいになっているんですね?

画像提供:EcoDeco

岡野:はい、そうです。リビングに他に人がいない場合は、この可動式棚をオープンな状態にして仕事をすることもできますし、ちょっと部屋を区切りたいなと思ったら、この本棚什器を好きな場所に移動させて、パーテーションのように使うこともできます。逆にリビングをもっと広く使いたい場合は、ワークスペースの壁に本棚什器を沿わせてデスク側に“蓋”をしてしまうこともできます。

――使わない時はワークスペースを閉じてしまう、というアイデアがすごいですね。この移動式本棚も、作られたのですか?

岡野:はい、リノベーションのデザインテイストに合わせて、一緒に作ってしまいました。扉でワークスペースを開け閉めするようにしてしまうと、ワークスペースとして区切る場所や位置が決まってきてしまうのですが、可動式棚のように自由に動かせるものを使うことで、リビングの活用の幅も広がりますね。

またワークスペースが散らかっていても、稼働什器で“蓋”をしてしまえば隠せてしまうのも便利なポイントです。

土間スペースにも作業場を作ってしまう!

岡野:玄関先の土間スペースに、ワークスペースを作ってしまう事例をご紹介します。

――土間ということは、玄関から土足のまま入れる空間、ということですね?

岡野:はい、そうです。玄関先に趣味のスペースとして土間を作るという方法がリノベーションではわりと需要が多くて、玄関を広くしたいという声があります。広いだけでなくて、ここにワークスペースも作ってしまうというのが、今からご紹介するケースです。

玄関を入ると広がる土間スペース。写真右奥に机とPCが置かれている。画像提供:EcoDeco

岡野:玄関から入った先に、もともとあったベッドルームをなくしてしまい、そこを土間にリノベーションしました。図面だと、オレンジの部分ですね。

アウトドアが好きだったり、サーフィンをされているので、ウェットスーツを乾かすためのバーを天井に設置したり、アウトドアギアをメンテナンスする場所として土間を利用されています。

――お外で使うものを収納する場所であれば、たしかに土足のままのほうが便利ですね。

岡野:この土間パターンのポイントですが、リビングから離れたところに作れるので、仕事に集中しやすいかなと思います。そして、将来ワークスペースが必要にならなくなった場合は、壁を設けて個室にすることも可能です。ただ土間の間取りによってはエアコンが付けられない場合もあるので、確認が必要ですね。

「完全個室」で仕事に集中

岡野:仕事をする場所を1室ちゃんと設けるパターンです。この方の場合は、リビングの横に全面ガラス張りの部屋をもともと作っていて、それを仕事部屋や趣味の部屋として使っている状況です。

あまり時間を気にせずに、仕事に集中できるスペースである反面、仕事部屋用のスペースを作るとなると、それなりに広さが必要になります。

この方の場合、まだお子さんがいらっしゃらないご夫婦のケースだったので、寝室は1つで、仕事部屋を1つ作ることができました。ただ将来子どもができた場合は、ここを子供部屋にすることになるので、そうするとワークスペースがなくなってしまうのがデメリットになるかなと思います。

画像提供:EcoDeco

リスナー:どの事例もとても素敵ですね。質問ですが、ワークスペースの前提として、ひとつのお家で1人が働く前提なのでしょうか。それとも夫婦共働きで2人が同時にワークする事例もありますか?

 岡野:そうですね、特に決まっているわけではないのですが、お二人の仕事のジャンルによって、例えばzoomでオンライン会議が多いお仕事もあれば、黙々とデスクワークという場合もあると思うので、状況に応じて検討されるのが良いかと思います。

今ちょうどリノベーションを進めている案件でいくと、夫婦それぞれ仕事用のデスクは欲しいけれど、ワークスペースは1つで良い、とのお考えをお持ちでした。オンライン会議があった場合は、どちらかがノートパソコンを持って寝室に逃げるといった方法で検討されていますね。

今後はリモートワークを取り込んだ間取りをより多く考えるようになると思うのですが、ワークスペースを2つ別々に設けるケースだったり、もしくは物理的に難しいケースもあるので、物件探しの際にはそれが実現可能かどうかチェックをする必要もありそうです。

画像提供:EcoDeco

岡野:寝室にワークスペースを作るという事例もあります。ただ、夜に仕事をされる場合は、他の家族の睡眠の妨げにもなる可能性があるので、ライフスタイルを鑑みながら検討されるのがいいかなと思います。

寝室ワークスペースのアレンジ版としては、ベッドの脇に壁を設けて、その裏側をワークスペースとして使っているケースもあります。

画像提供:EcoDeco

――この壁の裏側がワークスペースになっているのでしょうか?

岡野:はい、そうです。次の写真がそのワークスペース部分です。

画像提供:EcoDeco

岡野:同じ寝室のなかにワークスペースを設けているのですが、その場合、ベッドルーム自体にある程度広さが必要になりますね。

ワークスペースを検討する時に必要なポイントとは?

岡野:リモートワークスペースの5つのパターンを見てきましたが、ほかの家族の影響を受けやすい「キッチン併設型」から、家族がいても気にしないで集中できる「個室型」まで順番にご紹介してきました。

さらには、今はリモートワークスペースとして使えて、いずれ子供部屋に転換することができるパターンもありました。ご家族やスペースの状況に応じて、全体を見据えて検討されると良いかなと思います。

では、いざリノベーションをお願いしよう、となった場合に、事前にある程度検討されておくと良いポイントをご紹介します。

岡野:どのくらいの広さが必要か。そして夫婦一緒に同じ場所で働けるかどうか、仕事の書類やプリンターをどのように収納するか、なども考えておくと良いポイントです。ワークスペースにエアコンが必要かどうかも予め考えておく必要があります。

これから働き方が変わってきて、今は特にリモートワークが注目されていますが、ずっとそのスペースが必要かどうかは今後の状況によりますよね。働き方や、家族のあり方などの将来設計も見据えて検討しておくと良いでしょう。

――リノベーションしてもしなくても、このタイミングでご家族間でこの内容について1回確認してみるのも良いかもしれませんね。

リスナー:可動式家具について質問です。先程ご紹介頂いた什器は、下にキャスターが付いているのですか?よく家具を動かすのですが、毎回重くて大変なので、キャスター付きの可動式家具に興味があります。

岡野:先程見ていただいたのはキャスター付きで作っているものになります。リノベーションする際にお作りすることが多いのですが、既製品にキャスターを付けるのも良いと思います。ただ、ちゃんとしたものを作らないと、棚が倒れてしまう心配もあったり、押した時に本棚が歪まないように気をつけたりする必要がありますね。動かすことを前提にして、強度を確保したものを作ると良いと思います。

既製品の本棚にキャスターを付けるなど、簡易的なDIYで対応できるとは思うのですが、気をつけるもう一つのポイントは、倒れた時の安全性を考えて、あまり高さを出さないほうが良いということですね。

リスナー:パーテーションに興味があります。どの事例もとても素敵で、ある程度広さのある物件だと思うのですが、例えば狭い物件での事例もありますか?お家が狭い場合のアドバイスがあれば教えて下さい。

岡野:そうですね、結局リノベーションで間取りを考える時も、限りあるなかでどうするかの陣取り合戦になります。なるべく空間を有効活用するしかないので、例えば廊下を使うとか、寝室の押し入れを改造してワークスペースにするとか、日中は寝室を使っていないのでそこをワークスペースにするという発想の転換をすると良いかなと思います。

――やはりリモートワークスペースを作りたいという案件は増えているのでしょうか?

岡野:僕が担当している案件が今数件あるのですが、ワークスペースを作りたいというご要望をほとんどの方から頂いていますね。やはりお家でも仕事をやる、もしくはやれるような社会状況になってきたからなのかなと感じます。

――本日はありがとうございました!

EcoDeco・岡野真弥

1級建築士・宅建士
リノベーションコーディネーター兼設計。
ライフスタイルショップで店舗スタッフやデザイナーとしての経験を積み、2013年EcoDecoに設計士として入社。その後、不動産やお金の知識も身につけてトータルに人の生活に関わっていきたいとコーディネーターも兼務することに。「ライフスタイルのデザイン」を提案できるように、日々お客様と向き合っている。

◻︎WEBサイト及びSNS
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