作る人のHAPPYが最優先!自炊を楽しむためのキッチンアイデア

「キッチンが狭くて料理がしにくい」
「食材があるのに料理する気力がないとき、どうしたらいいの?」
日々のごはん作りにはこんな悩みがつきものですよね。
そんな悩みを共有・解決するべく、今回お招きしたゲストスピーカーは自炊料理家の山口祐加さん。パネラーのみなさまとともに、座談会形式でディスカッションしていただきました。
キッチンの困りごとにどんなアイデアが出るのでしょうか。

パネラー参加者:好きな料理
なるあや:イタリアン、九州の家庭料理
Kurumi:和菓子
ミッフィー:オムライス
Yuuki:和食、洋食、中華、スイーツ全般
あやちゃ:鍋料理(せり鍋)
キッチンに定位置はない!暮らしにフィットした空間使い
「まずはキッチン空間に関する困りごとについて話してみましょう」
Kurumi:私は1LDKに夫婦子供の3人暮らし。キッチンが狭いため食洗機を作業場に置いているんですが、切った食材を置く場所がなく、食洗機の上に置くことも…。みなさんどうされていますか?工夫があれば知りたいです!
Yuuki:わたしも複数料理をするときに、ごちゃごちゃになりがち。冷蔵庫に入れると使うのを忘れちゃうので、ついつい外に置きっぱなしになるんです。あとはキッチンって電化製品が多くて、コンセントが足りないという悩みもあります。
山口:最近引っ越したばかりなんですけど、わが家の調理台も狭いんです。
水切りカゴって場所をとる上に、お皿を乾かすときしか使わないんですよね。だから置くのをやめました。代わりに水切りマットを使っているので、使わないときは(布巾かけのような)キッチンハンガーに干しています。水切りカゴと違って、水はね跡の掃除の手間も省けるので、すごくラクですよ。

作業台が足りない場合の解決策は、キッチンワゴンや小さなテーブルを使うとか。あとはグリルに新聞紙などを敷いて、揚げ物を一時置きにするアイデアもあります!
荒業としては、使っていないコンロの上にお皿を置いて盛り付けをすることもありますよ。
あとコンロ下の収納でもポイントがあります。うちは棚のドアをとってしまったんです。
パネラーのみなさん:えー!
山口:1. 扉を開けて 2. 物を出す=2作業あるんです。それを1作業にしたくて、ドアを外しました。キッチンが狭いことを利点にして、調味料を取るためにしゃがんだまま、フライパンに調味料を投入することも…(笑)。
それぐらい自由に発想していいと思っています。
電気ケトルや電子レンジとかは、思い切ってリビングなどキッチン以外の別空間に置くのもひとつです。
Yuuki:電化製品の中だと、特にミキサーを使う時に困りますね。冷蔵庫、オーブン、電子ケトル、炊飯器でコンセントの4つが埋まっているんです。
山口:うちは炊飯器を置かずに、お鍋でお米を炊いています。毎日炊くと電気代もかかるし、面倒。だからまとめて炊いているんです。
冷蔵庫、レンジ、炊飯器…と、上に上に重ねがちですよね。そこに置くしかない冷蔵庫などは別として、レンジやケトルなどは場所にこだわる必要はないと思いますよ。リビングに置いたり収納しちゃってもいいんです。
なるあや:私はキッチンが小さい家に住んでいたとき、折り畳み作業台を使っていました。シンク下の戸棚にひっかける作業台をつけて、代用するんです。洗った野菜などを置くスペースが確保できますよ。
山口:なるほど!あとはシンクに直接ボウルを置いて、切った食材を置くのも作業スペースの節約になります。シンクの中も清潔にしておけば、作業台代わりになるんです。
あやちゃ:食器を乾かす場所ですが、私は冷蔵庫の上に二段の簡易棚を設置して、流し横と併せて三ヶ所にしています!
山口:シンクの上に戸棚があるなら、戸棚にひっかけるラックを活用することもできますね。横の幅が無理なら縦の空間を使う!
ミッフィー:私はシンクに折り畳み式の水切りカゴを使っていました。
山口:いろんなタイプがありますよね。3人4人と食器が増えれば、食洗機や水切りカゴが必要になる。暮らしのスタイルに合わせていきたいですね。
Kurumi:うちの食洗機はお鍋などが入らないので、結局手洗いしないといけない。それを乾かしていると、もう食器だらけになります。
ミッフィー:荒業ですが、コンロの上に布巾を敷いて食器を乾かすこともあります。
山口:たしかにそれでもいいですね!私も学びになります!
あやちゃ:私は1LDKでスペースがないので、断捨離サービスを使ってみました。あと、シンク下の排水管の横はにおい移りが心配だったんですけど、透明のボックスに入れることでうまく食器を収納できました!
山口:食器の収納も難しいですよね。私はリンゴ箱を横にして、カラーボックスのように収納しています。食器、乾物類、本…上にもまだまだ置けるので便利ですよ。

食材を買ったのに料理のモチベーションがあがらない…解決のヒントは時間と手軽さ
あやちゃ:食材を買ったけど作る気力がない時、どうしていますか?
私は土日に食材の買い出しに行くんですが、あれもこれも作るぞ!と思って買ってきても、疲れてやる気がなくなることがあります。月曜日になれば仕事もあって、食材が傷みがち。
買い物後や仕事終わりでも食材を活用できる方法があれば教えてほしいです!
Yuuki:同じ悩みがあります。買っている最中は作るぞ!と思うけど、結局やることが多くて作れず、食材をダメにしてしまうことも…
ミッフィー:家族がいるとそれでも何か用意しないといけないので、私は疲れてやる気がない日のために、冷凍のお惣菜をストックにしています。
Kurumi:生鮮食品があまってしまうことも結構あります。主人の実家からどどんと野菜が届いたり…これみんなで消費できる?という状況とかがあります。
なるあや:コロナ禍で主人のごはんが毎晩必要&子供が偏食。買い物が苦痛になったので、冷蔵庫を小さいスーパーにして、その日の気分で作るようにして乗り切っています。あとは全部を一から作るのではなく、副菜は電子レンジですませるなど手を抜くようにしています。
山口:買ったのに気持ちが乗らないときは、料理したくなるタイミングを待つことが大事。頑張れない自分を責めない!それでも食材がやばいときは、とりあえずお味噌汁やスープに入れちゃいましょう。しなしなの小松菜もスープならOK。そこに豚バラを入れれば、立派な豚汁になります!
あとは焼き野菜が本当におすすめ。料理をしようとすると、何を作る?どんな味付けにする?どれぐらい時間かかる?どんな切り方にする?…なんて選択肢が多すぎ!でも焼き野菜なら焼くだけです。焼いてまずくなる野菜はありません。
レンコン、カブ、カボチャ…切って油で焼くだけなのに、素材の味がしてとってもおいしい!焼くと甘みが出て、子供も大喜びなんです。焼いただけなのに色とりどりで豪華ですし。
あとは焼いたお肉と即席スープで十分。
頑張れないときは、まずは料理したくなるときを待ちましょう。そして少しだけ残った野菜は焼くだけで充分。この2つがおすすめです。
山口:あと買い物も工夫するといいかもしれませんね。
冷蔵庫の写真を1枚撮ってから行くことと、買い物の型を決めちゃうこと!
「根菜1個、葉物1個、ある程度日持ちするトマトorブロッコリー、肉or魚」みたいに決めちゃうんです。ジャンルごとに一つずつ買えば偏りもありませんし、組み合わせてお料理もしやすいです。
米粉を使った簡単おすすめレシピ
Kurumi:米粉を使った簡単なレシピがあれば知りたいです。
便秘の原因は小麦のとりすぎなのかも?とやめてみたら解消したので、それ以降なるべく米粉を使っています。米粉パンを作っているんですが、他にもおすすめの米粉レシピを教えてほしいです。
なるあや:米粉のパンケーキは作ります。専用のキットが売っていますよ。
山口:わたしもグルテンフリーほどではないけど、セーブできるところはしています。
米粉パスタとか米粉うどんもありますけど、フォーのように別物。玄米パスタなら応用がきいてオススメですよ。
揚げ物の衣も米粉を使えばサクッとします!
Kurumi:確かに米粉パスタはフォーに似ていて、パスタとは別物と思っていました。玄米パスタ、ぜひ使ってみたいです。ありがとうございます!
ミッフィー:糖質オフダイエットが気になっていたときは、おからパウダーをよく買っていました。糖質じゃなくてタンパク質になるんです。味もおいしく作れますよ。
山口:いいですね!あとは揚げ物とかの小麦粉を、片栗粉にするのもアリです。こういうところでセーブして、外食では普通に小麦粉をとっていますよ。小麦には中毒性がありますよね。パンにはおにぎりに感じない魅力を感じます(笑)。
Yuuki:そうですね。パンケーキにはまっちゃって、つい食べちゃう。近所でもパンケーキのお店をさがしています。おいしいですよね。
山口:ずっとセーブしていると我慢の限界になるので、バランスが大事かなと。たくさん食べなければいいんです!
リピートしがちなお気に入りレシピ
「手間とかも含めてリピートしちゃう、お気に入りのレシピを教えてください」
山口:いつも言っているんですけど、お味噌汁は本当におすすめ!おいしいし、なんでも入れていいんです。ブロッコリー、カリフラワー、マッシュルームや菜の花まで。少量だけ余ったら、翌日の味噌汁につぎ足しています。ある程度残っているけど食べられないときは、お水とごはんを足して味噌おじやに!
こんな風にいろんな食べ方ができるし、発酵食品のお味噌は体にいいし、おすすめです。
この季節に一番買う食材はカブなんですけど、大根と違ってだいたい葉っぱ付きで売っているんですよね。この葉っぱがめちゃくちゃおいしい!多めの油で炒めて、みりんと醤油、かつお、ごまなど自分好みの味付けにするだけですごくおいしいんで、食卓によくあがっていました。恐ろしいぐらいお米が進みます(笑)。

アイスム【五感をひらくレシピ】より「かぶの葉とじゃこの炒めもの」
お豆腐にかけたり、おそうめんとあえたりしてもおいしいですよ。カブを買わない方は、小松菜でやってみるのもおすすめです。私は葉っぱが食べたくてカブを買っています。本体はおまけ(笑)。
カブは大根のような辛味がないので、サラダにしてもおいしいです。スライスして塩でもんでから、「ポン酢とごま油」「オリーブオイルとレモン汁」など。
塩もみ野菜は、たくさん野菜が余った時にもおすすめです!
とりあえず切って塩でもんでおけば、そのままサラダにもできるし、水気がなくなっているから炒めるのも茹でるのも火の通りが早い!
しかもかさが減るから、冷蔵庫の場所もとらないんですよね。
塩もみ以外では、干すのもおすすめ。新聞紙や紙袋の上に、白菜ならそのまま、大根ならスライスして並べるだけです。干しきのこの炒め物もおいしいですよ。
時間が経つとカピカピになるタイプの野菜(例えばにんじんなど)も、干したと思えば正当化できる!冷蔵庫の中で干していたんですよーと言い切りましょう(笑)。
コロナ禍でも楽しくキッチンと向き合うために
山口:こういう状況だと、今まで自分だけで適当に済ませていた食事も、家族が食べられるものという条件が増えて、自分の優先順位が下がりますよね。その積み重ねで自分の好きなものが食べられない=しんどいにつながる。
でも自分のしあわせ、機嫌がいいってとても大事なんです。作る人の不機嫌は食卓で伝わるので、自分のHAPPYを優先してほしいなと思います。
自分の好きな食べ物を一品は入れる、しんどいときはお惣菜に頼る、ミールキットを使う…いろんな方法がありますよね。
意外とお子さんって、冷凍餃子を喜んだりします。いい意味で残酷というか。だから、まずは自分の機嫌を優先しましょう。
パネラーのみなさん:ありがとうございました!

キッチンの困りごとは尽きないものですが、とくにコロナ禍ではその悩みが大きくなりがちです。「家族のため」「食材を全部使い切るため」頑張りすぎていませんか。
「キッチンの空間に正解はないので、暮らしに合わせてなんでも活用してみる」
「お味噌汁や焼くだけ野菜は、やる気がでないときのおすすめメニュー」
「野菜が余りそうなときには、塩もみするか干す!」
どれもすぐに試してみたいアイデアばかりですね。
まずは自分のHAPPYを最優先に!山口さんのアドバイスをもとに、キッチンとの関係を考え直す機会になったのではないでしょうか。
山口祐加(やまぐち・ゆか)
自炊料理家、食のライター。
共働きで多忙な母に代わって、7歳の頃から料理に親しむ。出版社、食のPR会社を経て2018年4月よりフリーランスに。日常の食を楽しく、心地よくするために普段は一汁一菜を作り、ハレの日は小さくて強い店を開拓する。料理初心者に向けた対面レッスン「自炊レッスン」や、セミナー、出張社食、執筆業、動画配信などを通し、自炊する人を増やすために幅広く活躍中。好物は味噌汁。
アイスムにて「五感をひらくレシピ」連載中!